国土交通省関東地方整備局は、電線共同溝の整備で初めてPFIを活用する。「国道1号東小磯電線共同溝PFI事業の実施に関する方針」を6月27日付で公表した。整備後に所有権を国交省に移転し、維持管理を受注者が行うBTO方式を採用。関係者間の調整の円滑化や、工程の効率化を目指す。9月をめどにWTO政府調達協定の対象となる一般競争入札を公告する。事業規模は約10億円。
対象となるのは、国道1号のうち、神奈川県大磯町小磯〜同西小磯間に当たる延長約0・5`の区間。電線共同溝を道路の両側に整備するため、施工延長は約1`となる。電線共同溝の設置とそれに伴う道路の整備、道路照明や標識などの付属物の設置について、調査設計と施工、維持管理を一体の事業として実施する。事業期間は契約締結日から2034年3月31日までの約16年間。
無電柱化事業では、地元との調整や、電線管理者、通信事業者などとの協議により事業が長期化しやすい。PFIを導入するのは、こうした協議や調整をワンストップ体制で実施できるようにするためだ。これにより、管路埋設の同時施工や早期の合意形成を促し、工期短縮を実現する。
また、BIM/CIMの活用など高精度な詳細設計により手戻りを最小化。管理を見据えて工程を最適化するフロントローディング手法を導入。事業の高度化・効率化にもつなげる。
実施方針では、おおむね8年間かけて共同溝を完成させ、その後8年間にわたって支障発生時の補修など維持管理を委託。完成後の8年間に長期国債を活用して支払いを分割して実施し、発注者の費用負担を抑える。
実施結果を検証し、将来的には地方自治体にも参考になるスキームを確立したい考え。関東以外では、中国と四国の地整が電線共同溝整備にPFIを導入。いずれも、エヌ・ティ・ティ・インフラネットを代表とするグループを受注者に選定している。
提供:建通新聞社