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滋賀産業新聞
2019/06/27

【滋賀】近江八幡市 水道経営ビジョン2019を策定

 近江八幡市は今年3月、持続可能な水道事業を実現するために、今後50年間の水道事業アセットマネジメントを踏まえ、2029年度までの10年間を見据えた中期経営計画「経営戦略」と、同10年間に取り組む施策の事業計画と財政計画を掲げた「水道ビジョン」を包括した『近江八幡市水道経営ビジョン2019』を策定した。
 基本理念は、『安土桃山時代から先人により創られ受け継がれてきた水の郷の生命(いのち)の水を次世代につなぎます』。経営方針は『経費の縮減の志向を図る』と『合理的な投資の実施』。
 施策目標に、@『水源・水質の強化〜いつでも良質でおいしい水をお届けします〜』、A『施設・管路の強化〜いつでも安定して水を供給します〜』、B『安定した経営の強化〜いつでも健全な経営を持続します〜』の3つを掲げ、Aで▽施設・管路の計画的更新▽長期的な水需要予測を基に一定の余裕を考慮した給水能力を把握し施設のダウンサイジングや統廃合の検討―を行なうとしている。
 具体的には、▽円山配水池(1977年完成、PC造、1池、貯水容量6000立方b)の更新、耐震化整備(2019年度・基本設計、2021年度・整備計画の策定)、▽自己水源である牧浄水場の浄化能力を最大限に活用する配水区域の拡大設定や、緊急時に他の配水区域への水融通について整備方針を定める「牧浄水場の活用最適化計画」の策定(2019年度・検討開始、2024年度・計画策定、2028年度以降・最適化整備)、▽沖島浄水場・配水池(1980年再整備)の老朽化に伴う今後の沖島水道施設の整備方針の策定(2024年度・整備方針案の策定、2028年以降・整備)、▽計装機器の更新(2019年度以降・機器更新)、▽ダウンサイジングの検討(2019年・検討、2020年度以降・ダウンサイジング)、▽南部水源地の(岩倉浄水場更新工事完了後の)廃止(2021年・計画策定、2023年・廃止工事発注)、▽重要管路(16路線44q)の耐震化(2019年以降・設計発注、2020年以降・耐震化工事を順次発注)、▽牧浄水場(導水管と接合井の接続箇所)の耐震化(2019年・設計、2020年・工事発注)、▽送水管(円山配水池〜長福寺配水池)の耐震化(2019年・整備計画策定、2020年・工事発注)、▽一般管路(昭和54年以前に布設したVP管)の更新(2019年・計画策定、2020年以降・順次工事発注)、▽第2期管路整備計画の策定(2019年・計画策定、2020年以降・計画に基づく更新事業の実施)―を上げた。
 同市の基幹管路の耐震化率は、県平均30%に対し3・3%と極めて低く、また、水道施設全体の耐震化率も13%に留まっている。
 このため、まずは災害拠点病院、避難所、防災拠点等の重要給水施設への供給ライン(16路線44q)を重要管路として、危険度や重要度から更新順位を決定し、2035年度までに耐震化されていない約36・8qの耐震化を優先させる考え。
 また、老朽化のため地震を想定した場合、特に懸念される状況にある円山配水池については、可能な限り早期の耐震化が求められるものの、立地が山の上にあり、建設時の作業道路が廃止され現在は幅が2bもない道路しか通じていないため、更新場所の選定から始めなければならず、一定の時間を要するため、並行して同配水池から長福寺配水池の送水管の耐震化を急ぐ。
 近江八幡市域における水道の歴史は古く、八幡町開町の頃(1600年頃)に日本で最も古い生活占用の水道である「古式水道」と呼ばれる水道が創設されたとされている。その後、近代的な水道事業は、1951年(昭和26年)2月に滋賀県内で2番目の上水道事業として創設され、1954年(昭和29年)3月に長命寺町松ヶ崎地先の琵琶湖から八幡山の麓の北之庄浄水場まで琵琶湖の水を引き込み、旧市内に送水を開始。1963年(昭和38年)には第2上水道事業の許可を受け、1970年(昭和45年)からの1次拡張事業で牧浄水場を建設し、1972年(昭和47年)からの2次拡張事業で岩倉浄水場などを建設、新たな地域に給水を開始するとともに、順次給水区域を拡大。1975年(昭和50年)には3次拡張事業として県営水道から浄水の受水を開始し、その後も人口増加や経済発展に対応するため、4次、5次の拡張事業を行ってきた。
 一方、安土町の水道事業は、1968年(昭和43年)に南部地区簡易水道として事業に着手し、1974年(昭和49年)には上水道事業に着工、1979年(昭和54年)から町内全域を給水区域として給水を開始。2010年(平成22年)3月に旧近江八幡市と安土町が合併したことを受け、2013年(平成25年)3月に旧市と町の上水道事業および沖島の簡易水道事業も合わせて、計画給水人口8万1800人、計画1日最大給水量3万2300立方b/日とする近江八幡市水道事業を創設し、現在に至っている。
 現在、同市には、琵琶湖を水源とする牧浄水場と沖島浄水場、地下水を水源とする岩倉浄水場と南部水源地があり、これらの浄水場で処理した水道水に加え、県企業庁の馬渕浄水場からの浄水を受水し、市内のほぼ全域に水道水を供給している。
 配水区域は6区域。牧浄水場は、場内の配水池を経て岡山・北里学区と桐原学区の一部に加圧配水。岩倉浄水場は、長福寺配水池を経由して自然流下で馬淵・武佐学区と金田・桐原学区の一部に配水している。南部水源地は老蘇学区に加圧配水。沖島浄水場は沖島配水池を経由して自然流下で沖島町に配水している。その他、湖南水道用水供給事業より浄水を受水し、長福寺配水池・円山配水池および上出配水池を経由して自然流下で配水している。
 2015年度(平成27年度)における給水区域の面積は約97平方q、給水人口は8万1639人、年間総配水量は約914万8000立方b、1日最大配水量は約2万7700立方bとなっている。

提供:滋賀産業新聞