神奈川県住宅供給公社は「二宮団地創生のための公民連携プロジェクト調査」を2019年度に実施する。商店街の空き区画、一戸建て住宅の空き家、廃止住棟跡地の活用など同団地が抱える課題に対応するためで、公民連携で事業化の可能性などを探る。国土交通省のPPP/PFI導入に関する支援対象(19年度第1次分)に選ばれており、1350万円の交付を受けることになっている。公社は8月以降の調査着手を目指し、今後、委託手続きを進める方針だ。20年3月の終了を予定している。
二宮団地(二宮町百合が丘1ノ2他)は1964年から公社が土地区画整理により開発した約72f、約2300戸の郊外型ニュータウン。公社の一戸建て分譲住宅が中核であるものの、公社は賃貸住宅856戸と商店街の施設を所有している。
開発後は、高度成長時代の住宅不足の中、平塚などの工業団地や、横浜、川崎、東京に勤務するサラリーマン世帯のベッドタウンとして人口が定着。しかし、その後、住宅の老朽化に加え、都市部の住宅価格の下落や産業構造の転換による若年勤労層の流出などにより、公社賃貸住宅の空き室が4割を超える事態となった。
そこで公社は、二宮団地周辺の豊かな里山や、保有する団地内商店街、未利用地を活用した共同施設などを基に、二宮団地再編プロジェクトを2016年4月に開始。賃貸住宅の再編(28棟856戸から18棟580戸)や、さまざまな活性化事業に取り組んできている。
その結果、新規入居者数の増加など3年間で一定の成果が上がってきているという。しかし、商店街の空き区画の進行、一戸建て住宅の空き家の増加、廃止住棟跡地の活用など団地全体の活性化の課題は山積みとなっている。このため、課題の解決に向けた調査などを行うことになった。
調査の内容は、▽検討項目に関する類似施設の検討▽各種事業のスキームやシステムの検討▽連携事業者などのサウンディングの実施▽創生モデルプランの検討▽マネジメント組織のあり方検討▽団地創生ガイドラインの検討―など。対象エリアは公社所有地が中心。
国交省による支援は、事業手法検討支援型。先導的な官民連携事業の導入や実施に向けた検討調査(導入可能性調査)を後押しする。同省が示した支援内容によると、調査後は、事業者の公募準備、事業実施と段階を踏んでいくことになっている。
提供:建通新聞社