新ルートの検討に当たり「計画段階評価」が行われている国道8号彦根〜東近江間について、社会資本整備審議会道路分科会近畿地方小委員会(委員長=山下淳・関西学院大学法学部教授)は「『山側ルート』が適している」との対応方針(概略ルート、構造)案を了承した。事業化を目指す国土交通省近畿地方整備局は今後、対応方針を決定し、本年度中には幅約1`に設定した山側ルート帯のさらに詳細なルートや構造の検討に着手する。
対象区間は、滋賀県彦根市内のJR東海道新幹線の高架との交差部付近から東近江市五個荘清水鼻町付近までの延長約23`。愛知川渡河部やトンネル部なども想定される。
山側ルート帯案は、彦根市街地の山側にバイパス道路を整備して交通容量を拡大する案。コストは用地補償や工事費など約1400億円を見込む。周辺の土地は空き地や空き家、耕作放棄地などが多いこともあり、支障移転は約50棟。約250棟、約450棟を見込む他の2案と比べ、格段に少ないのが特長となる。
会議では、住民や道路利用者、関係団体、沿道自治体から意見聴取の結果などを総合的に判断し、「支障移転による既成市街地への影響を最小限に抑える山側ルート」とする対応方針案を近畿地整が提示。各委員も同案を了承した。
出席した委員からは、今後詳細な検討を進めていく中で「産業振興の促進や渋滞の緩和という今の政策目標だけでなく、『コンパクトシティ』や『コンパクトアンドネットワーク』などの将来ビジョンに対してこのルートがどう貢献するかということを示すべきだ」と、住民が主体的に考える機運を作る必要があることに言及。この他、地域のまちづくりや土地利用計画との整合性、中心市街地へのアクセス、周辺の歴史文化遺産との連携・活用、人口減・都心回帰・空き家空き地などの社会構造の変化への対応など、地域とともに検討を進めていくことを求めた。
提供:建通新聞社