台風等による豪雨など、洪水氾濫や土砂災害による被害を軽減するため、ハード・ソフト対策を一体的・計画的に進める「香川県大規模氾濫等減災協議会」(事務局・県土木部河川砂防課)が6月10日に県庁で行われ=写真=、県における豪雨災害の軽減に向けた地域の取り組み方針(拡充案)について協議、了承を得た。
拡充案によると、国土交通省の「水防災意識社会」の再構築に向けた2020年度目標で取り組むべき「緊急行動計画」の改定を受けて、複合的な災害への、対策強化等の観点から地域の取り組み方針を拡充した。
主に四つの柱のうち「円滑かつ迅速な、避難のための取り組み」では、14項目を新規・拡充し全体で27項目とした。主なものでは県と市町などが要配慮者利用施設やライフライン事業者など、さまざまな関係者と調整し、多機関連携型タイムラインの作成に向けて検討。水害リスク情報の共有や住民の避難確保体制の整備のために、県がダムの放流量から下流基準点の流量予測をし、さらにそのピーク水位における想定氾濫区域図の作成に向けた検討を行う。
避難計画作成の支援ツールを充実するため、県は想定最大規模降雨に対応した洪水浸水想定区域図について公表しホームページに掲載する。
この他、県と市町が共に災害リスクの現地表示し、先進的な事例を共有。地区防災計画の作成や地域の防災リーダー育成に関する市町の取り組みに、防災士など専門家による支援を行いつつ、共助の仕組みを強化する。
また、地域防災力向上のための人材育成として、県と市町が地域に精通し水害・土砂災害リスクなどに関する豊富な知見を有する専門家による支援方法についても検討する。
洪水予測や水位情報の提供強化として、県はこれまでの危機管理型水位計や河川監視用カメラの追加配置計画を検討・調整してきたが、これに加えてダム放流警報の耐水化が必要な施設について対策を実施する。
県は避難路、避難場所の安全対策強化にも新規に取り組む。土砂災害による避難所・避難路の被災する危険性が高い箇所のうち緊急性の高い箇所で円滑に避難確保できるよう、砂防堰堤などの整備を推進。洪水ハザードマップに掲載されている民間施設などを活用した緊急避難先の事例を収集し、調整内容や協定の締結方法などについて協議会の場を通じて情報を提供する。
一方、「的確な、水防活動のための取組」を「被害軽減の取組」の項目名に変更。早期復興を支援する事前の準備を新規に掲げた。
県、市町、関係者らによる▽2018年の緊急点検を踏まえ、氾濫による危険性が特に高いなどの区間で、樹木・堆積土砂等の撤去による緊急対策を推進▽近年、浸水実績があり重要施設の浸水が想定される河川などで浸水被害を防止軽減するため、河川改修等を推進▽電気、ガス、電話、上下水道などのライフラインについて、被害を受けた時でもこれらの供給を円滑に実施するための対策を検討する。
「河川管理施設の整備等に関する事項」を「防災施設の整備等」に改め、従来の3項目から新規に4項目を追加。全体で7項目にした。多数の家屋や重要施設の保全対策▽土砂・洪水氾濫への対策▽ダムなどの洪水調節機能の向上・確保▽重要インフラの機能確保▽樋門・樋管などの施設の確実な運用体制の確保―などを挙げている。
提供:建通新聞社