県土整備部は、元請けが下請け業者に二重帳簿の作成や不当な見積もりを強要するなど、不適切な事例を発見した際に県のHP(ホームページ)で公表することを決めた。不正事例を公開することで元請け業者に改善を促し、厳しい立場に置かれる技能系専門工事業を保護する目的。
先月30日、県庁であった「技能者確保・育成ワーキング会議」で、出席した各技能士団体の代表らに元請けからの不当な契約要求に対する対応案を示した。
各技能士団体は、二重帳簿の存在を指摘したほか、会社経営に必要な法定福利費を見積額から引かれるといった切実な意見を寄せた。
同部は県建設技術センターに委託してとび工、型枠工、鉄筋工など専門工事業を対象に毎年、行っている賃金水準調査を今年度から元請けも対象にすると説明。個別に聞き取りした上で、場合によっては立ち入り調査も実施して、県の設計価格を下回った不適切な契約などに目を光らせる。また、これまでに建築工事で不適切な事例が散見されたため、県営繕課の職員も調査に同行させる。
これに対し技能士団体は、契約や取引の停止など元請けからの締め付けを警戒。慎重な調査を求め、具体的な事例の公表には懸念を示した。
このため、同部は「調査はまず全体像を把握することから始めたい」(技術企画課)とし、調査結果の公開については不当契約の代表事例にとどめ、元請けに注意喚起することにした。
一方、国交省は開会中の通常国会に建設業法等改正案を提出。下請け業者が「指し値発注」「支払い遅延」といった違反行為を通報した際、元請け業者による報復行為を禁止する。報復行為を確認すれば業法に基づいて行政処分し、公正取引委員会に独禁法に基づく措置を講じるよう請求する。
業法改正を踏まて、同部は「県としても報復行為を厳しく取り締まっていきたい」(県土総務課)と話している。
日刊建設工業新聞