県県土整備部施設改修課は11日、「千葉県文化会館大規模改修工事基本設計」の簡易公募型指名競争入札を公告した。応募調書資料の提出を今月12日から27日まで受け付け、8月7日に開札する。予定価格、調査基準価格ともに事後公表。工期は2020年3月17日まで。委託費は県の当初予算に基本設計費1億円のほか、測量調査費3881万円を措置している。
入札参加資格は、県の建設工事等入札参加資格者名簿に建築関係コンサルタント業務で登録されていることなど。配置予定管理技術者の実績は、過去10年間に元請けとして、劇場、音楽堂等の新築・増築・改築または内装改修に係る基本設計または実施設計業務の経験がある者など。
大規模改修は、同会館が建設後50年以上を経過し、建物の老朽化が進んでいることから「県有建物長寿命化計画」に基づき実施する。
事業スケジュールは、本年度の基本設計後、20年度で実施設計を行い、21〜23年度で改修工事を実施し、23年度内にリニューアルオープンする計画。
大規模改修工事は▽安全性の推進▽バリアフリーの推進▽ライフサイクルコスト縮減▽長寿命化の推進▽利用者の快適な環境づくり▽環境負荷の低減――を基本に実施する。
安全性の推進では、ホール・ホワイエ天井の改修、消防・非常用設備の更新などを実施。バリアフリーの推進ではエレベーターの新設(2基)やスロープ整備など、ライフサイクルコスト縮減では効率的・経済的な維持管理が可能となるよう空調設備の更新、館内照明LED化などを行う。また長寿命化の推進では、築80年まで使用可能を目指して建物全体の内外装、電気・機械設備等を改修する。
一方、利用者の快適な環境づくりでは、舞台設備の改修、ホール客席の更新、トイレの洋式化、カフェの設置などを予定。環境負荷の低減に向けては、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー機器の導入を図る。
工事は文化会館を休館して実施。工期には本工事と聖賢堂の解体工事を含め約18か月を見込む。工程としては、本館機能の一部を聖賢堂に一時移転するか、または仮設建物を設置し、管理事務所など本館機能の一部を移転する。聖賢堂に機能を移転する場合は、聖賢堂の改修工事を実施する。機能移転後に本工事に着工し、本工事後に本館へ機能を再移転し、聖賢堂を解体する。
県文化会館は1965年10月に着工し、67年4月1日に開館した。当時の設計は大高正人氏(大高建築設計事務所)が担当し、工事は戸田建設が施工した。また、95年から96年にかけて大規模改修を実施している。施工は建築工事を戸田・松栄JV、電気設備工事を関電工、空調設備工事を東洋熱工業、衛生設備工事を大和設備工業が担当した。
敷地面積は3万3069・85uで、本館と聖賢堂で構成。本館はRC造一部SRC造地下3階地上3階建て延べ1万942・77u(建築面積7146・44u)。施設内容は大ホール(4631u)が固定席1790席(うち車椅子用3席)、楽屋が7室。小ホール(662u)が固定席252席。ほかに練習室5室。
聖賢堂はRC造延べ1510・67u(建築面積1014・80u)。施設内容は会議室4室。
同会館は、県の文化芸術のシンボル的な劇場として長年にわたり県民に親しまれてきた。また、1967年には日本建築学会賞作品賞を受賞したほか、公共建築100選、優良ホール100選に選ばれるなど、建築的に高い評価を得ている。