川崎市は、東京急行電鉄から提案された、等々力緑地再編整備でのPFI事業について審査するため、有識者で構成する「民間提案審査部会」を立ち上げ、5月28日に初会合を開いた。今後、提案内容の精査、審査基準の策定などを行いながら審査を進め、9月には審査結果を提案者である東京急行電鉄に通知する予定だ。
等々力緑地について川崎市は、民間活用の導入を踏まえた公園の魅力向上に向けて検討している。昨年11月から12月にかけて、等々力緑地再編整備に対する民間事業者から意見などを聞く「マーケットサウンディング」調査を実施。その際、東京急行電鉄からPFI法に基づく民間提案の提出について申し出があり、2月28日に提案書が市に提出された。
市は、東京急行電鉄から提案を受理後、審査基準の作成や、提出されたPSC(公共が提案した事業を自ら実施した場合に事業期間全体を通して、いくらの財政負担になるかを現在の価値に計算して表したもの)・VFM(従来方式と比べてPFIの方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合)の再評価、提案の精査を実施。庁内の検討体制として「民間活用調整委員会」を活用し、提案内容の取り扱いについて検討を進めている。また、第3者の評価体制として、付属機関である民間活用推進委員会に「民間提案審査部会」を設置し、客観的な視点による提案内容の妥当性などを審査することにしている。
東京急行電鉄による提案内容は、等々力緑地の一体的な管理・運営、等々力陸上競技場・市民ミュージアム・とどろきアリーナ・その他公園施設の活用、民間収益施設の設置などによる複数年のPFI事業を実施するというもので、コンセプトは「非日常を日常に」。等々力緑地全体を企画・設計・建設・維持管理運営までを一貫してプロデュースするという。陸上競技場について「プロサッカーチームのホームグラウンドとしてのブランディング、多種多様なイベントを通して集客する」とし、とどろきアリーナについては「プロスポーツやコンサート、展示会など多種多様なイベントの開催」などにより、多世代が楽しめる多機能型の交流拠点を目指す。
提供:建通新聞社