東京都は6月5日、ゼロエミッション都庁推進会議の初会合を開き、参加した各局局長らが「ゼロエミッション東京戦略」を年内に策定することを確認するとともに、ゼロエミッション・ビークル(ZEV)車の導入拡大に向けて都内の公共用充電器数を2025年度までに倍増させるよう、導入施設を各局で検討していくことを決めた。
会議の冒頭、あいさつした小池百合子知事は、「昨今の異常とも言える災害の発生は、誰もが“おかしい”と感じるようになっている。気候変動対策の必要性は長年論じられてきたが、まさに待ったなしの状況」と危機感を表明。5月に開かれたU20東京メイヤーズ・サミットで自身が打ち出した気候変動対策の強化について触れ「東京が世界をリードする取り組みを進めなければならない。大きな挑戦であり、都民の共感と協力を得て実現させたい」と訴えた。
会議では環境局が「ゼロエミッション東京戦略」の策定に至る経緯を説明。都のこれまでの気候変動対策が一定の効果を現している一方、「命に関わる暑さ」「経験したことのない大雨」など自然災害による影響の甚大さと対策の緊急性から、さらなる気候変動対策を打ち出す必要性があると強調した。
その上で、気候変動への対処は、環境リスクの低減だけでなく、社会・経済に便益と機会、成長をもたらすと指摘し、建築物などの省エネ・再エネ施策の強化に加え、あらゆる分野の広範な取り組みを気候変動対策として進化・転換する方針を打ち出した。
極端な気象変化から都民の生命と財産を守る強靱(きょうじん)な都市を構築するため、緩和策・適応策を総合的に展開するとともに、資源循環分野を本格的に気候変動対策に取り込み、社会全体を脱炭素型に転換する。新たな取り組みとして、プラスチックとZEVに関する中期目標を設定し、省エネ・再エネ施策をさらに強化する。
このうちZEVの普及促進に向けた取り組みでは、都庁の率先行動として、都内の公共用充電器数(現状2500基)を25年までに5000基に倍増させ、現在300基ある急速充電器を30年に1000基まで増やすことを目標に設定する。都立公園や都道路整備保全公社所管の駐車場などへの整備に加え、各局所管の都民利用施設に積極的に公共用充電器を導入する考え。今後、施設の利用実態に合わせて導入する充電器の種類や時期などを検討していく。
提供:建通新聞社