千葉市文化財課は3日、特別史跡加曽利貝塚新ガイダンス施設基本計画策定業務委託の公募型プロポーザル手続きを開始した。加曽利貝塚の特別史跡指定を受けて、同貝塚の保存活用のための整備を進めることにしているが、その一環として計画している新ガイダンス施設の基本計画を策定する。本年度の基本計画で導入機能や施設規模、管理運営方法等について検討し、2020年度の基本設計、21年度の実施設計を経て22〜23年度で施設を建設し、24年度の開館を目指す。
参加資格は、過去10年間に国または地方公共団体が設置した博物館・美術館・史跡ガイダンスなどの類似施設もしくは世界遺産及びその候補資産のガイダンス施設の、基本構想または基本計画に係る業務実績を有していること等。共同企業体としての提案も可。
今月27日に参加申し込み及び企画提案書等の提出を締め切り、7月上旬のプレゼンテーションを経て候補者を特定する。委託期間は、契約締結日の翌日から20年3月19日まで。委託限度額(消費税を含む)は1200万円。
若葉区内にある加曽利貝塚の整備を進めるにあたっては、同貝塚の持つ本質的な価値を保存・継承するために、現在、史跡内にある博物館を史跡外へ移転し、調査研究と地域交流の拠点となる新しい博物館(新ガイダンス施設)を整備するとしている。
新ガイダンス施設の建設予定地は、同貝塚北東の坂月川対岸、小倉浄化センター跡地で、面積は同跡地及び隣接地を含めて約1ha。市が昨年度策定した特別史跡加曽利貝塚グランドデザインでは新博物館エリアとして位置づけ、「縄文文化と貝塚の研究拠点の整備」を方針に掲げている。
想定している整備内容は、加曽利貝塚や縄文文化が学べる施設の整備。最新の調査研究とその成果が発信できる環境や体制の整備。対岸の加曽利貝塚が俯瞰(ふかん)できる展望施設の整備。ミュージアムショップや飲食施設の整備。地域住民が利用できる協働スペースの整備。周辺のアクセス道路の改善。観光バスツアーなどの誘致と団体客に対応できる受け入れ環境、運営体制の整備。
これを踏まえて新ガイダンス施設基本計画の策定では、基本理念や活動方針、事業活動計画、展示計画、管理運営計画、事業計画等について検討するとともに、史跡保存整備委員会やワークショップの運営支援等を行う。
このうち事業活動計画の検討では、他の先進類似施設が実施している事業内容の事例を踏まえ、新ガイダンス施設における具体的な事業活動計画を検討するとともに、遺跡及び市内関連施設(市立郷土博物館、市埋蔵文化財調査センター等)との機能分担・集約についても検討し整理する。
また、展示計画の検討ではテーマ構成やゾーン構成、展示内容について、展示手法や空間演出、動線、配置等を含めて検討するほか、施設計画の検討では遺跡との連携や駐車場整備を含めた敷地全体の利用計画、新ガイダンス施設に必要な諸室構成や規模などを検討。
管理運営計画の検討では、民活導入などの手法を含め、管理運営方式、組織体制及び開館形態(日時、料金等)の方向性、遺跡全体の管理運営のあり方やサポート体制(市民団体、ボランティア団体等)などについて検討する。
グランドデザインの策定は、文化財保存計画協会・オリエンタルコンサルタンツJVが担当した。