コンクリートアカデミーを5月に立ち上げた熊本県生コンクリート工業組合(味岡和國理事長)。生コンに特化したアカデミーの設置は組合によると全国初の試みだという。初代アカデミー長に就任した味岡理事長に活動内容などを聞いた。
―設立に至った背景は
近年、コンクリート構造物の品質確保への関心が全国的に高まっている。特に熊本は高品質化に向けた技術研究が進んでおり、この技術を生コン業界だけではなく、建設関連産業全体に広げたいと考えていた。コンクリートの品質を高めることは、業界の発展にも繋がると考えている。
組織は、コンクリートに関する有資格者(コンクリート診断士、コンクリート主任技師、技術士等)や関連する団体から選出された運営委員に加え、熊本大学と熊本高等専門学校の学識経験者を顧問としている。
自治体からの協力としては、現時点で「県南コンクリート構造物品質確保推進協議会」(通称・コンクリート技術養成塾)の事務局を務める熊本県県南広域本部だけなので、今後、県本庁に対し参画を働きかけていく。
―具体的な活動内容は
組合の枠を超えた活動を展開する。オープンスクールとして、学生を招いた工場見学やインターンシップの受入を積極的に進め人材確保に努めるとともに、関係団体や行政などにも幅広く参加を呼びかけていく。発注者・施工者・供給者間による意見交換の場を設け、それぞれの思いのすり合わせが出来れば、より良い物が造れるのではないか。
現在、コンクリート診断士やコンクリート技師・主任技師の資格は国家資格ではなく、日本コンクリート工学会の認定資格となっている。構想段階だが、アカデミーでも同様の資格講習会を開きたいと考えており、受講者には修了証書を交付したい。試験制度も設けられればとも思っている。
―先月28日には設立記念イベントとして技術研修会を開かれましたが
組合初の新規入職者を対象にした講習会だ。コンクリートの基礎知識に加え、コンクリート試験の実技を体験してもらった。参加者からの評判も上々で、いいスタートが切れたと思っている。
組合にとって嬉しい誤算だったのは、受講者が当初予定していた定員約70人から120人と大幅に増えたこと。会場の都合でお断りせざるを得なかった方も多数いて、関心の高さが感じられた。
―今後の事業展開は
全国生コンクリート工業組合連合会の副会長と九州地区本部の本部長を務めており、熊本から始まった活動を九州、全国に発信していきたい。活動の輪が広がれば業界全体の底上げに繋がると確信している。
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