渋谷区は、区施設や商業ビルの建て替えが進む「神南二丁目・宇田川町地区」で、調和の取れた開発を誘導するため、「まちづくり指針」をまとめた。対象地では、2019年度中に約30年前に都市計画決定した地区計画の見直しを予定しており、先行してまちづくりの方向性を示した。
対象は神南1丁目と2丁目、宇田川町の約15・6fを中心とした区域。南側は渋谷駅から商業、業務、公益施設が連なる中心街の一角で、北側はNHKホールや国立代々木競技場、代々木公園などの公共的空間となっている。渋谷駅中心地区の再開発に連動して対象区域内でも建て替えや開発の機運が高まっていることから、「まちづくり指針」によっての各計画の方向性を定める。
指針では、対象区域の将来像を「職住遊が融合した生活文化を創造・発信し続けるまち」とし、国内外からの来街者を引き付ける魅力を持ちながら、落ち着いた職住の環境を継承したまちづくりの誘導を目指す。具体策として、大小の建物が集積したシンボル性のある景観、ゆとりある歩道空間の整備、公共スペースや建物のみどりの創出などについて取り組みを示している。
テーマごとの主な取り組みは次の通り。
【歩行者ネットワーク・街並み・交通】
▽渋谷駅に街への起点となる広場を形成▽沿道敷地と連携した歩行空間の確保、歩道の充実、地下道の検討▽民有地での歩行空間の確保、校庭差を解消する建物内動線の確保▽交差点や分岐点に面する民地と連携した広場や滞留空間の整備▽路地空間の維持、大街区化に伴う貫通道路の整備▽開発と連携した無電柱化の推進▽シンボル性のある街並み形成▽路地空間を生かした街並み形成▽代々木公園への連続性、開放感に配慮した街並み形成▽バリアフリー機能の充実
【緑・環境】
▽渋谷駅から代々木公園が連続する緑をつなぐ軸の形成▽大規模施設更新に合わせた代々木公園と街をつなぐ緑の強化▽公園や広場の積極的な活用▽壁面、屋上、テラスなど「見える緑」空間の整備▽緑のたまり空間の整備▽太陽光発電など再生可能エネルギーの導入
【防災・防犯】
▽共同化による建物耐震性の向上や広場空間の創出▽防犯カメラや夜間照明の設置
提供:建通新聞社