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建設経済新聞社
2019/05/21

【京都】文化庁移転は来夏着工予定 府警本館は保存基本に改修 新行政棟は延約9200u規模

 文化庁の京都移転に向け、京都府は、京都市上京区の京都府警察本部本館を保存改修し、文化庁新庁舎として活用。あわせて文化庁及び府庁第3号館の機能を併せ持つ新行政棟を府警本部本館の北側に増築する。諸手続きを経て、令和2年8月の着工を予定。令和3年12月の完成、令和4年3月(令和3年度中)の移転完了を目指す。
 文化庁新庁舎(府警本部本館)は文化庁が利用し、増築部分の新行政棟は文化庁と京都府がそれぞれ利用する。
 京都府警察本部本館(RC造地下1階地上3階建、延約4280u。建物高さは約14m/設計は京都府営繕課、施工は清水組(現・清水建設))は、昭和3年に京都で行われた昭和天皇の即位の礼にあわせて建設された京都の近代化遺産。国登録有形文化財への登録を前提に、保存する部分とのバランスを図りながら、昭和初期の官庁建築を機能的なオフィスビルとして活用し、近代建築の保存活用におけるモデルを目指す。
 外観は現状保存を基本とし、西側玄関部のアーチ状の縁飾や塔屋階の装飾、東西の連窓など、特徴的な意匠はそのまま保存する。
 外壁は一次調査では保存状態が良好であり、現状保存を基本とするが、一部修復が必要な箇所は既存意匠を踏襲して復原する。
 サッシは劣化状況と活用方針に応じて、アルミ等新規材料での機能更新を可能とするが、可能な限り既存の枠寸法などの意匠を踏襲するよう努める。
 東側玄関部は、後年の改変で設置された風除室を除却し、創建当初の外観を復原する。
 内部は、特に意匠性が高い室は現状保存を基本とする。1階ホールの後年に設置された天井は撤去して直天井とし、中心飾りなど創建時の姿に復原する。
 耐震改修については、外観に影響しないよう補強は内部で行う。耐震改修内容は▽劣化部材の健全化▽壁増設、開口閉塞、鉄骨ブレースによる耐力の向上▽耐震スリットの設置による極脆性柱の解消。
 なお平成31年3月に府警本部本館整備基本設計を策定した。
 一方の新行政棟は、S造地下1階地上6階建、延約9200u(建築面積約1700u)、建物高さは約25mで計画。
 新行政棟の3階部分の高さを既存部分(府警本部本館)の高さと揃え(3階軒レベルを統一)、新旧の一体性を感じられる計画とする。
 4階でボリュームの切り替えを行い、上層階の5・6階を1〜3階部分までと分節を行い文化庁の独立性を表現するとともに、4階上部の屋根により高層ボリュームの圧迫感の軽減を図る。
 府警本部本館と新行政棟は渡り廊下等で接続する。新旧の執務機能を各階でつなぐ部分に、ガラスに囲われた3層吹抜けのガレリアを設け、新旧の外壁が対峙しながら互いに引き立てあう調和を目指すとともに、新町通と旧府庁本館との間の見通しを確保する。
 「新行政棟・文化庁移転施設整備の基本・実施設計業務」は公募型プロポーザルで業者選定し、日本設計関西支社(大阪市中央区)に決め、平成30年10月に2億2832万2800円で契約した。新行政棟の建設予定地では現在、公益財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター(向日市)により埋文調査が進む。
 新行政棟の建設で不足する駐車スペースについては、府庁3号館の解体跡地を充てる。解体する府庁3号館の規模はRC造4階建、延3759・74u。府庁3号館解体工事はキョウラク(京都市伏見区)が担当。府庁3号館解体工事設計は京都空間研究所(京都市中京区)。