東京都都市整備局は、新宿駅とその周辺を一体的に再編し「新宿グランドターミナル」へと生まれ変わらせるため、都が施行者となって土地区画整理事業に着手することを決めた。線路をまたいで駅の東西を結ぶデッキの新設や、歩行者優先の視点による東口・西口駅前広場の再整備を行い、民間事業者が駅や駅ビルの改良・機能更新を連携して実施する。今夏に新宿区と都市計画手続きを開始し、年内に都市計画決定する。
世界最大規模のターミナルである新宿駅では、駅東西への移動がしにくく、人の滞留空間が不足していることに加え、駅や駅ビルの老朽化が大きな課題となっている。そのため、都と新宿区は18年3月に「新宿の拠点再整備方針(新宿グランドターミナルの一体的な再編)」を策定。更新期を迎えた駅ビルの建て替えを契機に、駅や駅前広場、駅ビルなどを再整備し、新宿駅を「新宿グランドターミナル」として一体的に再編する方針を打ち出した。グランドターミナルとまちを結び付け、人々の交流が生まれる歩行者ネットワークを構築するため、駅東西のまちをつなぐ線路上空デッキの新設や、歩行者優先の駅前広場への再編などを実施することを事業内容として盛り込んでいる。
これを踏まえ、都が施行者として新宿駅直近約10fを区域として区画整理事業を実施し、駅の改良や駅ビルの機能更新と連携しながら、デッキや駅前広場などの公共施設を整備することで、新宿グランドターミナルへの再編を進めることにした。
デッキは、現在の東口広場と西口広場の南側を、JRなどの線路をまたいで新設する。デッキにつながるJR線と小田急線の改札も新たに配置する。4号街路(地上・地下)や新宿通り、駅街路8号(中央通り)の道路空間を再編し、歩行者空間を拡大する。工事については鉄道事業者に依頼する見通し。
東口と西口広場については、車両系機能を再配置して歩行者空間を広げ、駅前広場に接続する道路も歩行者優先の空間に再編する。グランドターミナルへの車両の流入を抑制するため、駅前広場の駐車場出入り口を移設し、共同荷さばき場を確保する。自転車の流入も抑制するよう、駐輪場を再配置する。
今後、デッキや駅前広場など都市施設の整備と区画整理事業の実施に伴う都市計画を年内に決定。並行して区画整理の事業内容や期間、手順などをまとめた事業計画の作成を進める。20年度以降に事業計画を決定し、順次、工事を進めていく。
提供:建通新聞社