国土交通省庄内川河川事務所は、枇杷島地区特定構造物改築事業で2019年度、左岸引堤の整備を進める方針だ。県道67号名古屋祖父江線の枇杷島橋架け替え事業を行う愛知県と名古屋市は、新橋と仮橋架設に伴う許可審査手続きを19年度に進める見通し。愛知県と名古屋市は、仮橋架設に向けた橋梁製作工を20年度に発注して、21年度の現場着手(仮橋架設)を目指す計画。
19年度に工事を発注する左岸引堤は、枇杷島橋とJR東海道本線・新幹線の間に整備し、延長は約60b。左岸引堤部が仮橋架設時の工事用進入路になる。
右岸は嵩上げによる新堤とする計画で、両岸の整備で堤防高と河川幅を広げ、河川断面を確保する。左岸引堤は既存堤防より約40b、南に下がることで完成後の川幅は約180bとなる計画。完成時の法尻から堤防天端までの高さは約6b。
庄内川渡河部に名古屋市が架設する新橋梁は、3径間連続鋼床版箱桁橋で、橋長は218b、径間長は67b+84b+67b。幅員は27・8b。下部工は、逆T式橋台2基、壁式橋脚2基、基礎は橋台を場所打ち杭、橋脚をニューマチックケーソンで構築する計画。架設はベント式工法を想定する。20年度に仮橋製作工を発注し、21年度に仮橋架設、現道を仮橋に切り回した後に、現橋を落とし、新橋梁構築に着手する工程を見込む。
愛知県が担当する枇杷島橋から北側に連続する県道67号区間は、名鉄西枇杷島駅付近で名鉄線と跨線橋形式(枇杷島陸橋)で立体交差している。新橋が現橋より高くなり、道路取り付けが困難になるため、枇杷島橋北側の延長約470bを高架化する。全体区間のうち河川側の延長200bは特定構造物改築事業の協定区間。
計画では既存の陸橋を撤去し、全体区間に新たな陸橋を架設。架け替えを予定している枇杷島橋の4車線化と橋台・橋脚の嵩上げに対応する。
整備に当たっては、既設橋梁の西側に仮橋(2車線)を架設した上で、片側2車線分の高架区間を整備して仮橋を撤去。残りの2車線高架区間の工事を進める計画。
新設する陸橋は幅員16bの4車線道路で、橋長が約410b。このうち取り付け擁壁の部分は約60b。橋台と橋脚の高さは3〜10b。基礎部分は場所打ち杭を予定。
枇杷島地区に所在する枇杷島橋、JR東海道本線・東海道新幹線鉄道橋、名鉄名古屋本線鉄道橋の架設区間は、庄内川の狭窄(きょうさく)部であるとともに、河川断面が不足している。桁下高の不足高さは1・7b。3橋梁のうち、枇杷島橋を先行して架け替えることで、桁下高の不足の解消と洪水流下の安全性向上を図る方針だ。
提供:建通新聞社