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建通新聞社(中部)
2019/05/14

【愛知】長年の懸案ようやく 柳生地下河川整備など 

 長年の懸案事業がようやく動き出す―。愛知県が計画する柳生川、広田川、砂川の3河川の大規模改修に向け、国による大規模特定河川事業の新規補助採択が決まった。3河川の全体事業費は計約201億円が概算される。初年度となる2019年の充当額は、柳生川が13億8000万円、広田川が11億6000万円、砂川が1億4000万円の内訳。同県は、柳生川で地下河川、広田川で遊水池の整備、砂川で橋梁の改築を検討しており、用地買収や調査・設計、一部準備工事など事業ごとに必要な作業に着手していく計画だ。
 柳生川は、豊橋市街地南部を流れ、三河湾に注ぐ2級河川。平成20年8月末豪雨による被害などを踏まえ、小池橋下流から上流側に向け、JR東海道新幹線、JR東海道本線、豊橋鉄道、国道が交差する狭さく区間延長500bと、さらに上流側400bを含む全長約900bを対象に地下河川を整備する。
 地下河川本体は現在の河床から15b程度地下に築造する計画で、内径約7b、延長920bの規模を想定している。全体事業費は本体工、流入・流出立坑工などで129億7000万円を概算。事業期間は19〜25年度。流入立坑と流出立坑の水位差で流下する仕組みで、大雨時などに地下河川に水を引き入れることで、本川の溢水を防ぐ。
 本年度は地下河川(仮設工)や関連工事などを行う。
 仮設工事は、仮設橋台設置工として、本庁契約(1億5000万円以上)の総合評価落札方式により、第2四半期に発注する。計画区間の下流側に築造する発進立坑予定地に擦り付ける形で整備する。工期は約9カ月。
 関連工事は全4件。地下河川整備に伴い必要となる下流側の浚渫1件と堤防補強3件を予定。このうち浚渫は本庁契約による総合評価で、いずれも第2四半期の発注を見込む。
 地下河川は計画区間の下流側から上流に向けてシールドマシンにより掘り進める。発進立坑は河川内、到達立坑は河川敷(陸上部)に築造する。
 本年度は仮設工事と準備工事を行い、翌20年度にも本体工、発進立坑の整備に着手。順次、到達立坑や操作ゲートを整備し、25年度末までの完成を目指す。到達立坑については今後の本体工の進捗に合わせて発注時期を検討する。詳細設計は本体、立坑いずれも中央コンサルタンツ(名古屋市西区)が担当した。
 広田川は、幸田町など2市1町を沿川に持つ矢作川水系の河川。計画では遊水池1カ所を整備することで、ピーク流量を毎秒93立方bほど低減させ、浸水被害の軽減を図る。整備面積は24f。計画地は幸田町大字菱池(現田んぼ)。57億5000万円を投じ、19〜26年度の8カ年で整備を終える。本年度は用地の測量・設計、買収を行う。上半期の外注を見込む。詳細設計はニュージェック(名古屋市中村区)で作成済み。
 砂川は、岡崎市内を流れる矢作川水系の河川。計画では、JR橋梁より下流側に位置し、未改修の砂川橋、若砂橋、中根橋、同2号橋の4橋梁について、河川改修に合わせて改築する。全体事業費は14億円を概算。事業期間は19〜27年度の9カ年。本年度は調査・設計(中根と若砂の詳細設計)と早ければ一部準備工事を実施する。砂川橋の詳細設計はサンコーコンサルタント(名古屋市中区)で作成済み。
 4橋梁は下流側から砂川橋、若砂橋、中根橋、同2号橋の順に位置しており、下流側から順次改築していく。中根橋と同2号橋については、1本に統合する形で改築する計画だ。
 3河川はいずれも事前防災対策が十分でなく、計画規模の洪水が生じた場合のリスクが極めて高い状況と判断されており、早期に治水安全度を向上することが求められていた。

提供:建通新聞社