新たな県立薩南病院の整備に向けた第1回基本構想策定委員会が8日、鹿児島市の県庁であった。候補地選定は、県有地活用を最優先に南さつま市の村原県有地(敷地面積1万9554u)など3カ所から絞り込む。7月開催の次回に現地視察して決定する。また、一般病床の規模は現在の許可病床の151床で、救急医療体制や災害拠点病院としての機能充実を図るため、免震構造による施設やヘリポートの整備等を盛り込む考えだ。
方針は、産婦人科・麻酔科の新設をはじめ、小児科の再開により周産期医療体制の確立を目指す。整形外科再開や地域包括ケア病床の導入等を検討するとともに、鹿児島大学等に医師要請を行う。
病床数は、許可病床が151床のうち運用病床は116床。利用率は平均78%で新たな診療科の開設等により必要な病床は増加するが、利用率を勘案して現在の許可病床数で計画するほか、結核病床の継続を盛り込む。
目指す病院像は「地域医療の最後の砦として、住民に信頼され、安心して医療を受けられる病院を目指して」を掲げた。
候補地選定の考え方は、一定規模以上の面積(1万u程度)があり、用地取得が短期間かつ容易であり、可能な限り用地費を抑制する必要があるため、県有地活用を最優先に公有地から選定する。
候補地は、村原県有地のほか、南九州市知覧町西元の県立看護学校跡地(敷地面積3万3634u)、南さつま市所有の敬老園跡地(同9455u)の計3カ所の中から絞り込む予定だ。
現病院(RC造3階建1万3124u)は、中心部から離れた吹上浜海浜公園近くの南さつま市加世田高橋に所在。1979年3月に竣工して築後40年が経過している。
これまで、在り方検討委員会が16年3月に現地では経営が極めて厳しいほか、改めて建物整備を検討することを提言書にまとめた。
委員からは「研修医が学びたいと思う特色を」「候補地が決まったら周辺住民への丁寧な説明をお願いしたい」などの意見が出た。
■8月ごろ概算事業費
今後のスケジュールは、移転候補地の視察後、建設場所を決定。8月1日の第3回では、概算事業費や収支見通しを含む基本構想(案)の決定を図る。その後1カ月程度のパブリックコメント手続きを行い、9月の第3回県議会定例会で議論を行い、決定・公表する。19年度予算には地質調査費や基本計画等の策定などに計1680万円を計上している。