神奈川県は、2018年度発注工事における賃金実態調査の結果をまとめた。それによると、回答のあった全24職種の労働者平均賃金は、いずれも1300円以上(時給換算)の水準にある。最低賃金については、最も低い職種でも、最低賃金法の定め(983円)以上の額が確保されていることが分かった。回答対象の労働者数が最も多かった「普通作業員」は、前年度比192円増の2159円。また、公共工事設計労務単価(18年度)との比較では、「配管工」など4職種が上回っている。その一方で、「左官」は4割強にとどまった。
実態調査は、昨年の11月から今年1月にかけて実施したもの。県土整備局発注工事の受注者と、その下請け企業が支払った賃金を調べた。その結果、対象事業者257社の8割超に当たる217社が回答を寄せた。回答サンプルとなった労働者数は761人。
各職種の最高賃金と最低賃金を見ると、24職種中、「造園工」や「とび工」など17職種で2倍以上の開きがある。賃金差が最も大きいのは「特殊作業員」の7297円で、「普通作業員」の6240円、「電工」の5505円などがこれに続いている。
年齢や経験年数による賃金比較では、10〜20代の若年労働者よりも30〜50代、経験が浅い労働者よりも経験年数10年以上の労働者が高い傾向にある。
常勤や日雇いといった雇用形態による違いについて、比較できた10職種中、「法面工」「交通誘導員B」の平均賃金は日雇いの方が高かった。元請け・下請け間の比較では賃金に大きな格差はなかった。
また、前年度との増減を見ると、「塗装工」など13職種が増加した一方、「鉄筋工」など6職種が減少している(比較データのない「山林砂防工」など5職種を除く)。
調査ではこの他、公共工事設計労務単価との比較を行った。それによると、「とび工」「鉄筋工」「塗装工」「トンネル特殊工」「左官」「はつり工」「内装工」を除く職種で、7割以上の賃金が支払われている。労務単価を超えているのは、「運転手(一般)」「配管工」「防水工」「保温工」の4職種。
賃金実態調査は13年度から行っているもの。県では、今後も調査を継続し、検討のための基礎材料としてデータを蓄積していく方針だ。
提供:建通新聞社