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建通新聞社四国
2019/05/10

【徳島】徳島市水道局の新庁舎 現本庁舎用地に

 徳島市水道局庁舎整備基本計画を策定するための有識者会議「市水道局庁舎整備検討会議」(会長・上月康則徳島大学教授)の第3回会合が4月23日、局本庁舎で開かれ、新庁舎の配置方式について、幸町の現本庁舎敷地に新庁舎を建築し、南前川町の分庁舎(維持課)をそのまま残し(旧館は撤去)、敷地内に倉庫を新築する分庁舎方式=図=とすることを決めた。また、事業手法については、公営企業という有利な立場を生かしたいとする事務局(局)側の意向も踏まえ、主に従来方式とデザインビルド(DB)方式の2案を比較検討し、従来方式を妥当とした。局はこれら意見を反映させ、5月14日に開かれる次回検討会議で基本計画案を報告。意見を求めた上で取りまとめることにしている。
 新庁舎の配置方式についての議論は、前回(3月22日)の会合から持ち越しとなっていたもの。前会合で局は、候補地とする現本庁舎用地(幸町)と分庁舎用地(南前川)、中前川配水場予定地(中前川)の局所有地3カ所の中で、分庁舎方式3案、合同庁舎方式2案を示したものの、あらかじめ用意した与条件を考慮した結果、合同庁舎は「第1種住居地域(現本庁舎用地以外)は3000平方b以下の庁舎しか建てることができない」「南前川の分庁舎(新館)は取り壊さない」−などの与条件から難しく、最終的に分庁舎方式2案での検討を求めた。これに対し、委員から「南前川の敷地を分割することで南前川に集約できるのでは」という意見があり、法的に可能か確認していた。
 与条件は@第1種住居地域は3000平方b以下の建築物とするA南前川の分庁舎(新館)は取り壊さないB南前川の分庁舎用地には倉庫(建築面積1000平方b)建築を見込むC維持課(40人)と倉庫は併設するD中前川配水場予定地は西の丸配水場の整備が完了するまで建築不可とするE想定する庁舎の建築規模は3750平方b(必要職員数150人、1人当たり25平方b換算で算出)程度とする−の6項目。また、分庁舎方式2案は、今回採用された案(A案)と南前川に建築基準法適合範囲内で維持課(既存680平方b)+倉庫(1000平方b)+庁舎(1250平方b程度=50人分)を整備し、幸町に100人分の庁舎(2500平方b)を整備するB案だった。
 今会合で局は、委員の意見を基に南前川の敷地を2分割して建築基準法適合範囲内である3000平方b(120人分)の庁舎を整備し、残りの土地に維持課と倉庫と750平方b(30人分)の庁舎を設けることで、集約化できるC案をあらためて示したが、用途地域の趣旨には合わない理由で採用は難しいとし、理解を求めた。このため、先のA・B案で比較検討した結果、両案とも仮設庁舎の整備が必要なものの、利便性(市民サービス+防災拠点)、工事費、工期の点で優れているとし、検討会議の総意としてA案に決めた。
 A案は、南前川の分庁舎用地に維持課(40人)を現状のまま残し、倉庫のみを建築、150人分の面積3750平方bの庁舎を幸町の現庁舎用地に整備する案。仮設庁舎の整備が必要で、これらを含めた事業費は今回示されていない。なお、本庁舎については、2020年4月の上下水道統合に伴う増員への対応は考慮しているものの、分庁舎への下水道関連施設の再編などは考慮されていない。また、1人当たりの必要床面積25平方bは、総務省や国土交通省の基準を基に算定しており、今後機能面も検討する中で増床するもよう。
 続いて検討した事業手法で局は、一般的な従来方式、DB方式、PFI方式の三つの事業手法を紹介。これらを「財政負担軽減の可能性」「市民・職員・関係者の意向反映」「設計品質の確保」「事業スケジュールの柔軟性」の四つの視点で整理した比較表を委員に示し、意見を求めた。その中で局が「公営企業のため、資金調達の面でPFI方式は不要」との考えを示し、委員からは「DBはチェックが難しく監理が甘くなる」「コストを抑えても他で品質面などの問題が生じる」といった意見があり、スケジュール自体も短縮できない事例もあることから、各段階でチェックができる「従来方式が妥当」とした。
 同事業は、耐震性能を満たさない現本庁舎と前川分庁舎(旧館)について、新たな庁舎の整備も視野に本庁舎機能の耐震化および長寿命化を検討する他、前川分庁舎旧館については解体し、跡地利用を新庁舎の候補地の一つとして検討していたもの。第1回会合では、現本庁舎を新築する方向性を固め、第2回会合以降は改築、別地(局用地)への移転について、20年4月の上下水道統合に伴う増員への対応も踏まえ、検討していた。
 新庁舎を建築する現本庁舎用地(幸町2ノ5)は991・72平方b。倉庫を新築する前川分庁舎用地(南前川町5ノ1ノ4)は4115・89平方b。局は次回会合を最後に庁舎整備基本計画を取りまとめることにしている。
 庁舎整備基本計画の策定は梓設計関西支社(大阪市北区)が担当。

提供:建通新聞社