金沢駅西の一等地、JR西日本グループが所有する同市広岡3丁目の用地が「令和」時代の幕開けとともに、一大開発ゾーンとして大きく動き出す。5年目に入った北陸新幹線の開業効果が引き続き、顕著なことなどから、観光・ビジネス客らに対応したホテルに加え、オフィス需要にも応えるほか、日銀金沢支店の移転も正式決定するなど、駅西のまちづくりは、新時代へバージョンアップする。
JR西日本グループが西日本ジェイアールバス金沢営業所の移転跡地で計画を進めている「ホテル」や「オフィス」、「立体駐車場」の3点セットによる再開発プロジェクトは、年初から提案型による施工者選定作業を進めていたが、このほど、優先交渉権者を特定したもようだ。今後、JRグループと共同でプランニングを進め、建設計画を固める。
対象となる用地は約7000平方メートル。ここに新たな3つの機能が配置される。当初案によると、ホテルがS造11階建て延べ約1万1000平方メートル、オフィス棟(一部店舗)がS造10階建て延べ約2万4000平方メートル、立体駐車場がS造7階建て延べ1万6000平方メートルが見込まれ、完成すれば、観光・ビジネス・宿泊と金沢に必要な都市機能がすべて揃う。
今月中旬には、西日本ジェイアールバス金沢営業所が同市乙丸町地内へ移転することから、再開発プロジェクトが本格化していくものとみられている。
「平成」から「令和」への10連休前日となる4月26日、日銀金沢支店の移転が正式に発表され、駅西地区の大きな官公庁プロジェクトが始動したといえる。
日銀金沢の移転場所は、金沢市企業局の隣接地で現在、JR宿舎があるエリア。用地面積に関しては、現在地の約4700平方メートルよりも広い、約5000平方メートルを超える面積の取得を予定しているが、日銀金沢支店では「契約前であり、最終的な面積は確定していない」(宮田慶一支店長)としている。
今回、広岡3丁目のJR西日本グループの所有地が再開発の3点セットという新幹線時代の都市拡充機能に、日銀金沢という北陸3県の金融中枢機能が加わることで、駅西地区で営業活動を展開している北陸の各金融機関と併せ、金沢の新たな金融ビジネス街が形成されることになる。
全体面積が約3万7000平方メートルという広大な同グループの駅西用地。北陸新幹線の「敦賀開業」に向けて、より一層、重要なエリアに発展しそうな気配だ。