国土交通省四国地方整備局と徳島県は、15日付で那賀川水系河川整備計画(変更原案)を公表し、16日に阿南市内で、同原案について学識者(委員)の意見を求める第13回那賀川学識者会議を開いた。その結果、現時点では変更原案であるものの、既設小見野々ダムを有効活用して新たに洪水調節機能を確保するための各種調査・検討、那賀川の吉井地区で河道掘削や引堤の検討、下流域で洗掘対策や環境への対応を考えていることなどが明らかになった。
会議では冒頭、四国地方整備局那賀川河川事務所の赤澤善樹所長が「変更原案を変更案へと、次の段階に進める作業として意見をお聞きしたい」とあいさつ。続いて事務局が変更原案の内容を説明した。これに対して委員から、現在の那賀川水系河川整備計画を変更する内容について意見があり、事務局側が現在の状況を交えて答える形で会議は進んだ。
主な変更原案の内容、委員からの意見と事務局の回答は次の通り。
<戦後最大流量規模の洪水を安全に流下させるため、目標流量を変更>
戦後最大の2014年8月台風11号規模の洪水を安全に流下させる治水対策を行う。目標流量は古庄地点(阿南市)で毎秒9000立方bから9700立方bに引き上げる。このうち700立方bを洪水調節して毎秒9000立方bを河道で流せるようにする。
=意見と回答=
▽意見−実現性についての考えは▽回答−おおむね検討を進めている。再整備中の長安口ダムで毎秒500立方b、小見野々ダムで毎秒200立方bを調整
<上流域でダムの再生に向けて調査・検討>
長安口ダムで新ゲートを最大限活用し、予備放流水位(洪水を待ち構える水位)をさらに下げる検討を行い、洪水調節容量を増やす。既設小見野々ダム上流域で堆砂除去して貯水容量を増やし、放流設備を新設、新たな洪水調節容量を確保。
=意見と回答=
▽意見−内容について説明を▽回答−洪水調節について、特に小見野々ダムでトンネル案(ダム湖からダム下流まで)、ダム本体のダム下流移設の方法などがある。まずは上流の掘削、地質調査から。ダム移設で国道や民家が水没することはないと考えている。移設距離は地質調査を行っておらず未定。この他、海川の堆砂除去の位置について答えた
<下流域で堤防を強化し、洪水疎通能力を増大>
無堤部の築堤、高水敷の整備などで堤防を強化。河道掘削に加え、吉井堤防の再整備(引堤)の実施に向けて調査・検討。
=意見と回答=
▽意見−吉井は線形は非常に悪いが実験や計算はどうか。また洗掘(深掘れ)への対応は▽回答−引堤の前に河道掘削を考えている。水の流れに対してはさらなる検討が必要と考えている。那賀川下流左岸の局所洗掘への対応として、高水敷の幅は20bくらいを考えている。深掘れに対して、洗掘への対応とともに環境への対応も考えている
提供:建通新聞社