東京都住宅政策本部は、登録戸数が伸び悩んでいるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の供給を促進すための方策を検討する。国の直接補助が終了することも視野に入れ、国や都が実施している供給促進策を検証しつつ、都の補助制度の有効性や不動産市況、新たな事業者の参入の可能性などを確認し、都が今後展開すべき促進策を探る。
都は2020年に向けた実行プランの中で、25年度末までにサ高住を2万8000戸供給する目標を設定。国の補助制度に加え、都独自の加算措置などを講じて事業を促進している。その結果、17年度末の段階で登録戸数は約2万戸に達したものの、登録戸数は伸び悩んでいるという。
また、国ではスマートウェルネス住宅等推進事業により、サ高住の整備を行う事業者に整備費の一部を直接補助しているが、現行制度は20年度に終了することが見込まれている。
こうした状況を踏まえ、実行プランで設定した目標達成を実現するため、今後の供給促進策の在り方を改めて検討する。
全国のサ高住の供給や立地、空間の質、サービスなどの状況を基礎データとして収集・分析するとともに、既存建物の改修・用途変更によるサ高住の供給や先進的・先駆的な取り組みを行っているサ高住などの事例を収集・整理する。
都の補助制度についても検証する。立地や住戸規模、戸数、入居者の要介護度など平均的なサ高住を供給する想定でモデルを設定し、補助制度を活用する場合としない場合について、初期投資や事業損益などをシミュレーションして補助の有無が事業や事業収支に与える影響を考察する。
シニア向け分譲マンションやシニア向け賃貸住宅などサ高住に該当しない民間の高齢者向け住宅の事例も収集・整理。事業者のアンケートやヒアリングを通じて、事業者がサ高住事業に参入しない理由や、サ高住事業に参入する際の課題などを分析し、供給促進に向けた有効策を検討する。
その上で、都のサ高住の中長期的な必要戸数と今後の供給見込みを推計し、国の直接補助の廃止・継続、不動産市況の変動などを考慮し、都が今後展開すべき適切な供給促進策をまとめていく。
5月15日開札の希望制指名競争入札を経て調査検討業務を委託し、年度内に成果を得る。
提供:建通新聞社