東京都議会は3月25日、予算特別委員会の総括質疑を行い、中山信行氏(都議会公明党)らが2019年度予算をめぐって都の考え方をただした。このうち19年度に都が創設する新たな助成制度「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」については、和賀井克夫環境局長が答弁し、「19年度からの3年間を期間に、東京ゼロエミ住宅の仕様を満たす新築住宅の建築主に対し、一戸建て住宅で70万円、2000平方b未満の集合住宅で1戸当たり30万円を助成する。さらに太陽光発電設備を併せて設置する場合、1`h当たり10万円を助成する」との考えを示した。
「移動経路の段差解消へ補助率アップ―宿泊施設バリアフリー化」
宿泊施設のバリアフリー化を促すための取り組みについては、藤田裕司産業労働局長が「19年度は出入り口から客室までの移動経路上の段差解消といった施設整備に対し、補助率を最大3分の2から『5分の4』に引き上げる」と説明。合わせて「宿泊事業者や建築設計事務所、設備機器メーカーなどに対するセミナーを開催し、制度の活用を周知する」と述べた。
「職能開発センター、型枠施工定員増加―建設業の人材不足対策」
建設業の人材不足への対応を尋ねられた藤田産業労働局長は、「職業能力開発センターで、特に中小建設業のニーズが高い鉄筋施工と型枠施工について若手技能者を育成するための訓練の他、建築や電気、管工事の施工管理の資格取得に向けた訓練も行っている」と説明。19年度は「型枠施工の訓練を実施するセンターを1施設増やすことなどで、年間の定員を48人から72人に拡大する。資格取得に向けた訓練についても、電気工事の施工管理技士に関する新たな講座を設置するなどし、現在の年間6講座・定員170人を11講座・定員350人に拡大する」と答えた。
「各局の優れた取り組みを情報共有―都職員の技術力向上」
都職員の技術力低下による積算ミスなどへの対応に関しては、岡崎義隆監査事務局長が答弁。「13〜18年度を対象とした工事監査では合計181件の指摘を行っており、このうち積算や施工のミスが全体の約8割を占めている」と監査結果を説明。その要因を「経験が浅く工事に関する技術的知識や法令などの理解が不十分な職員が増加したことに加え、組織的なチェック体制の不備や支援が不足していること」だと述べ、再発防止に向け年2回の監査情報連絡会の開催や、各局の優れた取り組みの情報共有や意見交換を行って改善を進めていく方針を示した。
「発注者に求められる役割、改めて各局に周知―建設業の働き方改革」
建設業の働き方改革を進めるための発注者としての取り組みについては、武市敬財務局長が「発注に当たっての適正な工期の確保や、建設実態を適切に反映した施工条件の明確化など、発注者の役割を職員一人一人が認識しながら工事の品質を確保することが重要」と答弁。そのため、これまで進めてきた「設計から工事までの各段階で必要となる幅広い知識を習得するための研修や、安全管理上の留意点を身に付けるための現場での講習会」を継続して実施するとともに、「働き方改革の中で発注者に求められる役割を改めて各局に周知するとともに、19年度は実際の現場事例を題材としたより実践的な研修を充実させる」との考えを示した。
提供:建通新聞社