東京都都市整備局は「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」に基づく「マンション管理状況届出制度」の運用を2020年度に開始する。現在開会中の都議会で条例案の議決後、施策推進に向けて制度周知や指針策定に取り組むとともに、届け出のオンライン化に向けたシステムの構築作業を進める考えだ。
東京の総世帯数の約4分の1を占めているマンションでは、建物と居住者の「二つの老い」の進行による管理上の問題が懸念されている。適正に管理されていないマンションの増加は、居住環境の悪化に加え、防災・防犯・衛生などの面で地域の生活環境や市街地環境に悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。
こうした状況を踏まえ、都が新たに制定する条例では、行政(都)と管理組合、事業者の責務・役割を明確化。これに合わせて、「1983年の区分所有法改正以前に建設された6戸以上の分譲マンション」(都内の分譲マンション約5万3000棟の26%に当たる約1万4000棟)を対象に、管理組合などによる管理状況の届け出を義務付ける。
具体的には、管理組合が▽管理組合の運営体制の整備▽管理規約の作成・保管▽総会の開催▽管理費・修繕積立金の設定▽計画的な修繕の実施―を確認して都に届け出る。また、適正に管理するために必要な取り組みとして、▽適正な期間の長期修繕計画の策定と、必要に応じた見直し▽滞納対応に関するルールの設定▽空き住戸の割合または戸数の把握▽賃貸化住宅の割合または戸数の把握▽耐震化の取り組み―なども把握するようにする。
都では制度の運用に当たり、有識者の意見なども踏まえながら19年度に指針の策定作業を進める。合わせてオンラインでの届け出を可能にするよう、既存のマンションデータベースを改修し、区市町村などとも情報共有できるようにする。
提供:建通新聞社