国・県や学識経験者、港湾関係者などで構成する高知港長期構想検討委員会(須野原豊委員長=日本港湾協会理事長)は18日、おおむね20〜30年間の長期的な発展方向を示す「高知港長期構想」の策定に向けた第2回の会合を開いた。会では、事務局を務める県が、港の将来担うべき役割として物流、交流、安全・安心の三つを挙げ、そのための課題を解決するため、港湾機能の強化やにぎわい創出など7項目の基本戦略を示した。
基本戦略ごとに見ると、物流面では「地域産業の持続的な発展や競争力強化に資する港湾機能の強化」と「地産外商を支え、県内企業の国際競争力を強化するための国際コンテナ物流拠点の形成」を挙げる。具体的な取り組みとして、三里地区西工区で浚渫土を有効活用した港湾活動用地の造成、バルク貨物に対応するための国際物流ターミナル整備、仮防波堤の沖側への大水深岸壁の整備、コンテナ船の大型化に対応したマイナス8b岸壁と前面泊地の増進などを示した。
交流面では「クルーズ客船の受入機能や体制の強化によるクルーズ拠点の形成」と「地域の魅力や観光資源を活用した賑わい空間の形成」を挙げる。具体的な取り組みとして、三里地区でクルーズ客船の大型化への対応や複数のクルーズ客船が同時接岸できる環境整備、客船ターミナルを中心としたにぎわいの創出、観光資源として有効活用するため防波堤を釣り施設として開放するなどの有効活用、潮江地区では民間資金も活用したにぎわい空間の形成などを示した。
安全・安心面では「安全な企業活動や安心な暮らしを維持するための港湾の防災機能強化」と「既存ストックの適正管理と有効活用するための戦略的ストックマネジメントの推進」を挙げる。具体的な取り組みとして、現在進めている三里地区で防波堤の延伸・粘り強い化の早期完成と耐震強化岸壁の整備、訓練などを通じた実効性の担保による港湾BCPの充実、適切な維持管理計画の更新や計画に基づいた点検・補修・長寿命化工事の実施、コンパクトで効率的なふ頭への再編などを示した。
これらの共通の取り組みとしては、AI(人工知能)やIoTなどの飛躍的な情報通信技術を活用した港湾のスマート化や強靱(きょうじn)化への対応を進める。
委員からはにぎわい空間の位置付けや他県との連携などについての意見が出された。事務局を務める県は今後、これらの意見を取りまとめ、7月に開催予定の次回会合で素案を示す。その後、状況に応じ第4回以降の会合を開き、2020年度に港湾計画を改定する。
提供:建通新聞社