神奈川県警察本部がまとめた交番等整備基本計画案によると、2020年度以降は年間10カ所程度で交番などの建て替えが行われる見通し。整備に当たってはコスト面を考慮し、自動車警ら隊といった庁舎への併設、他の公共施設の一部活用(ビルトイン方式)、狭あい地での施設のスリム化など、柔軟な手法を検討していく考えだ。県内全体の交番施設数は約400カ所とした。
基本計画は、17年3月に策定された「神奈川県公共施設等総合管理計画」に基づく警察関連施設計画のうち、交番等整備に関わる個別施設計画の基本方針として位置付けられるもの。期間は20〜29年度の10年間。
県警はこれまで、老朽施設の建て替えや、警察力の効率的で一体的な運用を目指した交番などの統合・新設を進めてきた。03年に631カ所(交番486カ所、駐在所143カ所、警備派出所2カ所)だった施設数は18年4月1日現在、610カ所(交番472カ所、駐在所137カ所、警備派出所1カ所)となっている。
しかし、施設の多くで老朽化が進んでおり、110カ所(全体の18%)が築後40年、276カ所(同45・2%)が30年を経過している。施設の構造はさまざまで、減価償却資産の耐用年数等に関する省令を基準とした耐用年数を超過している施設は81カ所ある。資機材の増強配備や交番用端末などの設置によって、狭あい化も進む。
この他、現状の交番勤務員定数と交番施設数を前提とした場合、すべての交番で1当務(24時間の当番勤務)3人以上配置することは不可能であるなど、勤務形態での課題も抱える。
こうした現状や課題を受けて計画では、交番新設時の交番総数増加の抑制、適正配置による施設の統合・建て替えの促進などを整備の方向性とした。
具体的な取り組みとしては、1当務の勤務員を複数人配置するとし、県内全体の交番施設数をおおむね400カ所とした。駐在所については、交番以上に地域に密着していることから、積極的な統合はしない方向。
建て替え数は年間あたり10カ所程度。実施に際しては、従来型の交番などにこだわらない考え。その手法として、▽自動車警ら隊など庁舎に併設するなど警察庁舎の多機能化▽立地に鑑みた機能重視の建て替え(警ら用無線自動車の駐留施設の設置など施設の大型化、狭あい地における施設のスリム化)▽他の公共施設の一部を交番などとするビルトイン方式▽長寿命化を見据えた建設手法の導入―を挙げている。
また、維持管理については、予防的改修を計画的に実施し、予算の平準化とともに施設の長寿命化を目指すとした。
提供:建通新聞社