東京都都市整備局は都内建築物の耐震化や不燃化をさらに促すため、耐震改修促進計画と防災都市づくり推進計画を改定する。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会後を見据え、耐震化や延焼遮断帯の形成率に関する新たな目標とその実現に向けた施策を打ち出す。有識者による検討会や庁内検討会などでの議論を経て年内に素案をまとめ、都民意見の反映手続きなどを経て2019年度末に改定する考えだ。
現行の耐震改修促進計画は16〜25年度の10カ年を期間とし、建築物の耐震化率の目標として▽特定緊急輸送道路沿道建築物は19年度末に90%、25年度に100%▽一般緊急輸送道路沿道建築物は25年度に90%▽住宅は20年度に95%(都営住宅は100%)▽特定建築物は20年度に95%▽防災上重要な公共建築物は16年度に100%▽災害拠点病院は25年度に100%▽社会福祉施設は20年度に100%▽保育所は20年度に100%▽私立学校は20年度に100%―を設定。特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化では、建物所有者の自己負担なしで建築の専門家や弁護士などをアドバイザーとして派遣したり、都独自の助成単価を引き上げるなど、それぞれの目標達成に向けた支援に取り組んでいる。
前回16年3月の改定から3年が経過し、都市づくりのグランドデザインの策定や社会経済状況の変化を踏まえ、これら建築物の耐震化の状況を改めて確認し、今後の耐震化の傾向と課題を分析。合わせて現在実施している施策の効果を検証し、今後の施策の方向性の検討や新たな施策の立案などを行って、年内に素案をまとめる。
改定に伴う調査業務は応用地質(千代田区)が担当する。
また、耐震改修促進計画と合わせて策定している防災都市づくり推進計画は、震災の予防と被害拡大の防止を目的に、震災時に甚大な被害が想定される整備地域と重点整備地域を指定し、改善に向けた整備目標や整備計画をまとめている。
現行計画では、25年度までに骨格防災軸の延焼遮断帯形成率を98%、整備地域内の延焼遮断帯の形成率を75%とする目標を設定。具体的に展開する施策として、木密地域不燃化10年プロジェクトや防災生活道路の整備を位置付け、地区計画の策定支援などに取り組んでいる。
こちらも現行計画策定(改定)から3年が経過したことから、これまでの延焼遮断帯の形成状況や整備地域内の不燃化の状況、整備地域と重点整備地域での街路事業や木造住宅密集地域整備事業、都市防災不燃化促進事業、不燃領域率の形成に関する規制誘導策などを整理・検証。木造住宅密集地域や整備地域・重点地域の指定見直しや、改善が進まない地区での不燃化推進策、木造住宅密集地域の形成が危惧されるエリア・進んでいるエリアでの対応策などを検討する。
検討調査業務はオリエンタルコンサルタンツ(渋谷区)が担当し、19年度中に改定計画をまとめる。
提供:建通新聞社