京都府は、京都市北区の蛙ヶ谷川に砂防堰堤を整備する。
蛙ヶ谷川は京都市北区西賀茂上庄田町に位置する一級河川賀茂川の右支流。土砂災害防止法に基づき、土砂災害被害の重要度が高い渓流として、土石流危険渓流Tに指定されている。流域内は崩壊地や渓岸浸食による倒木が確認されており、流域の荒廃が進んでいる。
当該流域の土砂災害警戒区域には人家94戸、土砂災害特別警戒区域には人家35戸を含む保全対象があり、今後の降雨で更なる土砂流出が予想されることから、安全確保のための砂防施設を整備する。
蛙ヶ谷川流域は、狭く谷が多いため発生区間が多く、谷出口直下が宅地化されているため堆積区間での用地確保が困難なことから、「発生場所の特定ができない」「下流側は宅地化され用地がない」「谷が多く、谷出口で捕捉することが効果的」とし、土石流や流木を捕捉するハード対策として砂防堰堤を採用する。
計画地は五山の送り火の船山から北東側に位置する市街化調整区域で、歴史的風土保存区域及び風致地区第1種地域並びに歴史的風土特別保存地区。
流域の最下流部にコンクリート造の不透過型砂防堰堤(砂防ダム)1基(堰堤高13・5m、堤長59・8m/対象土砂量1万0777・9m3、施設効果量1万1005・2m3、対象流木量245・7m3、施設効果量141・3m3)、前庭保護工、副堤(堰堤高6m、堤長31・2m、流木捕捉)、垂直壁工(H2・80m、L14・7m)、渓流保全工(L100m、壁面はブロック積)、付替道路(W3m、L326m、敷砂利)、管理道(敷砂利)などを新規に整備する計画。渓流環境改変範囲は1万8500u。
堰堤本体の修景対策は、「型枠兼用となり施工性やコスト面で優れる」「表面に空隙を持たせ、苔等の活着を期待し、周囲との調和が図れる」などから、壁面緑化(パネル)案を採用する。
本堤及び副堤で地山斜面に袖部の嵌入を行うため、堰堤の施工時に両岸の斜面を掘削(切土)する必要がある。今回の計画では本堤や副堤の周辺、取付道路沿いの斜面の広い範囲に切土法面が発生する。
必要最小限の地形改変面積となることを念頭に、地質状況に応じた切土法面の安定勾配を確保した上で、法面の保護と景観に配慮した法面修景を検討。計画地及ぶその周辺の植生は、主にスギやヒノキ、サワラの植林地及び赤松群生の混合林であり、法面保護工としてカゴ枠積擁壁を採用する。付替道路等の切土部は在来種を用いた種子吹付工とする。
本堤左岸側の天端(1ヵ所のみ)に立ち入り防止柵を設置する。本堤天端、副堤天端、前庭保護工天端、渓流保全工天端の天端処理は、コンクリート表面に凝結遅延剤を塗布後に洗浄し、表面に凸凹が残る「洗い出し仕上げ」とする。
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京都府(京都土木事務所)の蛙ヶ谷川砂防堰堤整備計画については、京都市風致地区条例の砂防堰堤の基準高さ8mを超えることなどから、3月13日開催の京都市美観風致審議会景観専門小委員会で審議。計画施設の3次元画像などが示された。