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建通新聞社四国
2019/03/08

【徳島】災害に強いまちづくり検討会美波町改訂了承

 学識経験者、四国4県と関係市町、四国地方整備局などが協働する「災害に強いまちづくり検討会」(座長・原忠高知大学防災推進センター教授)の第2回会合が、このほど徳島県美波町で開催され=写真=、2018年度地域モデルの美波町で検討を重ねてきた「災害に強いまちづくり計画」改訂素案を審議。おおむね了承した。3月末までに微修正を経て同計画を改定する。また、美波町の計画改訂の内容を「災害に強いまちづくりガイドライン」と「四国における津波災害からの復興まちづくりに向けた事前対応の手引き」改訂案に反映し、「平成30年7月豪雨」の教訓や、東日本大震災からの復興に係る取り組みなども含めて、こちらも3月末までに改訂する。
 徳島県美波町は、山地が迫る海岸部。まち全体の住戸の7割が津波浸水区域で。徳島県で20bを超える想定最大津波高など地域特性がある。
 これまでの計画では主に、津波浸水地域での避難場所確保に向け、津波避難路・タワーなどの整備を進め、大浜津波避難タワーが完成している。役場庁舎は津波浸水想定区域にあるため「高台整備構想」の検討を進めている。
 改訂案では、主に六つの施策に取り組む。まず、災害初期の通信遮断時にも動作する、新しい情報伝達手段の「止まらない通信網を活用した命をつなぐ減災推進事業」に取り組む。美波町日和佐地区一帯に自立分散型IOTデバイスで構成される独自のセンサー網を構築し社会実験中。珍しい取り組みであるためガイドラインに反映する。
 避難場所の整備では孤立や避難所不足が懸念されるため、集落規模や地域の実情に即して、地域分散型避難施設を整備し避難所を補足する。
 応急仮設住宅の不足と用地確保が困難な場合を想定し、耕作放棄地の活用や防災公園・防災広場の整備などで応急仮設住宅建設地の確保を進めている。住宅計画の検討では地域の限られた用地の、効率的な利用のため、多層階の建築形式を検討。ガイドラインにも反映する。
 日和佐地区高台整備構想を推進。日和佐地区の市街地に災害時の活動拠点となる役場や国・県の施設、日和佐地区こども園などの要配慮者利用施設をはじめ、多くの住民の生活の場が津波浸水想定区域となっており、公共施設や防災公園(応急仮設住宅用地)を高台に・移転整備する。これまでに防災公園整備に着手し、日和佐地区こども園の移転も具体化。18年度に事業着手し用地買収が進む。
 美波町とUR都市機構との間で18年3月に津波防災まちづくりの推進に向けた協定も締結。こども園の高台移転や防災公園の整備に係る技術支援が行われている。
 山間部に位置する赤松地区では津波市雨水想定区域外であるため、災害時の中核となる、災害対策本部の後方支援機能などとしての活用を想定して現在、防災拠点施設を小学校跡地に整備した。地域全体を備蓄倉庫と位置付け、地域内で応急仮設住宅などの整備促進が図られる効果が期待できる。ガイドラインにも反映する。
 最後に阿南市福井町と美波町、那賀町と美波町の大規模災害時の相互協力に関する協定締結を、計画改訂案とガイドラインに追記した。

提供:建通新聞社