四国地方整備局はこのほど、2019年度の総合評価落札方式の実施方針を明らかにした。同日開催の同局の総合評価委員会で了承されたもの。四国地整では、地域の守り手確保のために地域建設業の存続を目指して現状分析を踏まえ、担い手確保による働き方改革の推進で若手技術者の配置を促す評価方式だけでなく、60歳以上の担当技術者の配置を加点評価する「建設シニアの配置を促す評価方式」に新規に取り組む。また、週休2日履行証明書の交付やICT活用証明書交付で加点評価する新制度にも取り組む。さらに直轄実績や県実績が無くても新規参入が困難な企業への受注機会を拡大するため、工事成績や表彰などを評価せずに同種工事、近隣地域の施行実績のみで評価を行う、地元企業の新たな参入を促す方式(チャレンジ型)を新規に試行する他、橋梁補修工事(新設の鋼橋上部工事とPC上部工事)で実績を有する企業を加点評価する方式にも新規に取り組み、持続性のある地域建設業の育成を後押しする。
四国地整では、総合評価落札方式の現状分析で、▽受注者の極端な偏在な見られない▽より技術力を求める「技術提案評価型」が工事成績が高く、技術力の評価が品質確保において有効に機能▽技術者の実績、成績評価で、実績を有していない技術者も受注可能な評価基準でその後の工事成績でも品質確保が確認された、と同日開催の総合評価委員会に報告した。
さらに、評価点獲得率が高いほど工事成績が高い、評価項目と配点は落札者の優位性が担保される評価内容とした他、維持関係工事など応札者が減少傾向にある工種があり、企業の入札参加意欲を向上させる取り組みが必要などとした。
このため19年度の実施方針では、担い手確保による働き方改革の推進として、若手技術者の配置で「現場代理人の経験を、主任(監理)技術者の経験と同等評価する評価方式を19年度に全工事を対象に継続で実施する他、「担当技術者の経験を、主任(監理)技術者等の経験と同等評価する評価手法」を難易度の低い河川・海岸堤防、道路改良等の分任官工事を対象に試行件数を拡大。19年度に30件程度の試行を予定している。
また、「配置予定技術者の年齢を加点要素」とする評価手法を、分任官工事を対象に試行を拡大し若手技術者の登用促進・育成を図る。19年度は20件程度の試行を予定。
さらに、15年度から17年度に完成した工事の主任(監理)技術者の年齢分布で、平均年齢が50歳と高齢化しており、今後,継続的に技術者を確保していくには若手技術者(40歳以下)の確保・育成が急務だとして、新規に一定年齢(40歳)以下の担当技術者の配置を加点評価する評価手法を分任官工事で10件程度試行する。
加点の条件は40歳以下の担当技術者を2分の1工期以上で配置。1級または2級土木施工監理技士の資格を有していること―など。総合評価のその他企業評価で5点加点する。
一方、高齢化が急速に進む四国の実情を踏まえ、熟練技術者の活躍の場を確保し、知識と経験を次世代へ継承するために、一定年齢(60歳)以上の担当技術者の配置を加点評価する制度に新規に取り組む。対象工事は一般土木C等級で分任官工事で10件程度の試行を実施する。
60歳以上の担当技術者を2分の1工期以上配置し、1級土木施工管理技士の資格を有していることが加点条件。あくまで、若手技術者への技術継承が目的であるため、当該工事の監理技術者等が50歳以下の場合は5点、50歳を超える場合は2点をその他企業評価で加点する。
週休2日履行証明書交付とICT活用証明書交付にも新規に取り組む。週休2日工事では19年4月以降に公告した全ての工事を対象に、週休2日を達成した(「4週8休以上」「4週7休以上4週8休未満」「4週6休以上4週7休未満」)の達成状況により履行証明書を受注業者に工事成績評定通知時に交付する。20年度の総合評価から全ての工事で加点評価する。
ICT活用工事でも19年度4月1日以降に公告した工事を対象に、全面的な活用を行った「監理技術者等」に成績評定通知時に「ICT活用証明書」を交付する。20年度の総合評価から同証明書を提出した配置予定技術者の加点評価が行われる予定。技術者の能力等で「ICT活用工事の実績で2点加点評価する。
提供:建通新聞社