富山県生コンクリート工業組合(酒井正人理事長)は5日、富山市のホテルグランテラス富山で、18年度「経営者技術講演会並びに品質管理監査合格証交付式」を開いた。式では、品質管理監査で「適合」の判定を受けた35工場の代表者に合格証が手渡された。
この日は、富山県生コンクリート品質管理監査会議の委員、各工場の代表者ら84人が出席。冒頭、あいさつに立った酒井理事長は、「昨年は豪雪となり、出荷量は70・1万立方メートルと、昭和53年の工組設立から40年間で最低の数字だった。本年2月の累計は、前年比111%と回復している。北陸地区では福井、石川がフル稼働で、富山は厳しい状況に置かれている」と現状を説明した。
また、「日ごろは工業組合、協同組合と活動を続けているが、協同組合の思想と実践が、ユネスコの「無形文化遺産」に登録されていることを知った。世界100カ国以上に10億人の組合員がいる。地域密着している生コン産業が、高齢化する社会、需要の減少する社会に対応する知恵が協同組合の役割である、と考え方を新たにした。今後も品質の良い生コンを、安定供給できるよう努めたい」と話した。
続いて、同監査会議議長の伊藤始富山県立大学環境・社会基盤工学科教授が、「フライアッシュコンクリートの現状と今後の活用」と題して技術講演。北陸地方でのフライアッシュ(FA)適用の流れやFAの必要性を述べた上で、「FAコンクリートの標準化(実装)が必要。北陸SIPで、そのための仕組み作りを行っている」と語り、FAに関する国内での普及状況、北陸3県の使用実績を紹介した。
さらに、温度ひび割れの抑制効果や高強度コンクリート(プレビーム桁)への導入、再生骨材コンクリートへの添加に係る研究成果などを報告し、「FAを使うことで設備投資のコスト、フレッシュ性状による表面の色のデメリットはあるものの、短期的には温度ひび割れとブリーディングを減らす効果があり、長期では塩害およびASRの抑制、副次的には廃棄物量とCO2排出量を減少させるメリットがある」と強調した。
交付式ではまず、監査統括責任者の橋本儀明氏が、18年度の品質管理監査結果の概要を説明し、「不適合の工場はなく、昨年度に比べ減点0が2工場減少し、29工場となった。全工場の合計減点数は11点増え、強度の出すぎでの1点減点が5工場などだった」と報告。加えて、「引き続き監査制度を活用し、品質管理と安定供給にさらなる努力を重ね、安心して使用してもらえる生コンにしていかなければならない」と協力を求めた。
引き続き、伊藤議長が35工場の代表者に、それぞれ合格証を手渡した。
閉会に当たり、伊藤議長は、「35工場すべてが合格し、富山県におけるコンクリートの品質確保につながるものと期待している。この監査会議は中立性、公平性、透明性を高めた監査によって、業界の一層の品質向上を図り、かつ、購入者の高い評価を得ることが目的。花岡大伸副議長とともに、その役割の一助になるよう努力したい。新たな年号となる時代にも、良質な生コンが安定供給されるよう努めていきたい」とあいさつした。終了後、議長を囲む懇談会も開かれた。