高知県建設産業団体連合会(吉村文次会長)は2月25日、高知県との協議懇談会を開催し、尾ア正直知事や村田重雄土木部長らと意見交換した。会では6団体が8項目の要望について説明、これに対し県側の考え方を述べた他、昨年7月の豪雨災害復旧や「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3カ年緊急対策」による事業費の増大に対応する2019年度の入札・契約制度改正案についての概要を説明した。
県との協議懇談では、高知県生コンクリート工業組合が「週休2日を前提とした工期を設定し、発注者にも徹底してほしい」と要望。これに対し県は「2017年10月から週休2日制モデル工事を始め、18年10月からは4週6休や7休の工事にも拡大した」と週休2日の取り組みを広げていることを説明した。高知県建設業協会建築部会は「総合評価方式のISOマネジメントシステム審査登録等の有無について、ISO9000シリーズ、ISO14000、エコアクション21のいずれかを取得していれば良いこととしてほしい」と要望。これに対し県は「品質と環境で目的が異なる」との見解を示し、今後の検討課題とした。
高知県地質調査業協会は「緊急発注工事では、他工事に支障がなければ現場代理人の兼務や変更といった柔軟な対応を」、全国道路標識・標示業四国協会高知県支部は「小規模な現場では、工程に支障がなければ配置技術者の複数現場の重複を認めてほしい」と要望。これらに対し県は「もし現場が稼働していない状態であれば発注者と相談してほしい」と述べた。高知県法面保護協会は「支障木伐採に係る費用を積み上げ計上してほしい。事務所、担当者で対応が異なっている」と要望。これに対し県は「売却可能な木については積み上げ計上する。事務所により対応が異なることがないよう周知したい」と回答した。
高知県建設業協会支部長会は「工事書類の簡素化」「鋼材価格が建設業者の負担にならないような対応」「19年度の入札制度改正内容」について説明を求めた。県は「工事書類の簡素化については、より簡便にすることを含め検討したい。鋼材価格については建設物価本の掲載価格は代表的なもので、実態と異なることがあることを理解してほしい」と述べた」
また19年度の入札契約制度については案の段階ではあるが、「事業費の増大に適切に対応するため発注標準額、指名競争入札の適用範囲、総合評価方式の適用範囲について、全体的に上方スライドする」と説明。具体的には土木一式のA等級とB等級の発注境界額を現行の7500万円から1億円にするなど発注基準を適用できる範囲を変更したり、共同企業体方式を活用する工事規模を2億円以上から3億円以上(建築一式以外)としたり、指名競争の適用範囲を3000万円以下から5000万円以下、予定価格の事前公表範囲を1000万円未満から2500万円未満とするなどの豪雨災害や国土強靱化への対応を強化する制度とする。
尾ア知事は「昨年は豪雨災害の対応で、地域の建設業のありがたさが身に染みた。高知県はやらなければならないことがたくさんある。国の緊急対策を全面的に生かし、増えていく事業量に対し適切な対応ができるよう、さまざまな見直しを行っていかねばならない。この会でいただいた意見を踏まえ、もう一段検討を深めたい」と理解と協力を求めた。これに対し吉村会長は「大幅な入札・契約制度改正は、建設業界を取り巻く諸情勢や経営環境が移り変わってきた長期的な面と合わせ、今後3カ年の緊急対策や昨年発生した災害復旧による予算増加に対応するための体制づくりであると承知している。あらためて大幅な予算増加に対しお礼を申し上げるとともに、予算の執行が滞ることなく、円滑で適正な施工をコンプライアンス重視でやっていきたい」と述べた。
提供:建通新聞社