県内建設業における最近の死亡災害の特徴として、2017年は10件の死亡災害のうち6件(60%)、昨年は同じく、10件のうち5件(50%)を「墜落・転落災害」が占める。昨年の建設業を含む全産業での死亡災害も、墜落・転落災害が54%と、憂慮すべき状況にある。
従来から、建設業界では墜落・転落災害が、建設機械・クレーン等災害、倒壊・崩壊災害と並んで、重篤な労働災害の主要なターゲットだった。しかし、このところ県内では、建設機械や倒壊・崩壊による死亡災害はほとんど見られなくなり、墜落・転落災害の占める割合が突出している。
建災防本部が/定めた重点事項
建災防本部では、墜落・転落災害防止対策を徹底するためとして、次の事項を示している。
〇高所作業における作業床の確実な設置。設置が困難な場合に安全帯取り付け設備の設置及びフルハーネス型安全帯使用の徹底
〇2018年6月の労働安全衛生法施行令等の改正に伴い、適切なフルハーネス型安全帯の選定及び正しい使用方法の確認、フルハーネス型安全帯使用作業特別教育の受講
〇足場等の法定の措置に加え「より安全な措置」の実施
〇手すり先行工法の採用の促進
〇足場の組み立て・変更時等における有資格者による点検の実施。足場の組み立て作業従事者への特別教育の受講の徹底
〇開口部や作業床の端には手すり、中さん等の設置および注意喚起の表示等の「見える化」の徹底
事業主などの現場/確認作業が不可欠
これらの本部から示された墜落・転落災害防止対策は、建設現場にとってどれも重要な事項であり、そのほとんどは、これまで行政当局をはじめ、各方面から繰り返し指摘されてきた事柄である。
支部会員が施工するすべての工事現場で、これらの災害防止対策が確実に実行されるためには、事業主、現場管理者等による各現場での確認作業が不可欠。建災防千葉県支部としては、千葉労働局並びに県下各労働基準監督署の指導をいただきながら、支部と分会が力を合わせ、こうした確認作業が励行されるよう、会員に働きかけていくこととしている。
災害の多発傾向のある年度末を無災害で乗り切るためには、関係者一同、覚悟を新たに取り組む必要を痛感している。
第13次防での/目標値は8件
第12次労働災害防止計画が昨年3月に終了した。建設業の場合、5年間で死亡災害の2割以上減という目標値から、本県ではスタート前年の12年の14件を基準として、目標を達成したことになる。
引き続き、昨年4月からスタートした「第13次労働災害防止計画」では、建設業における死亡災害の目標値は5年間で15%以上減少させる計画。スタート前年の10件を基準とすると、目標は8件になる。
県内建設業における死亡災害は、ここ数年、減少が続いた。しかし、工事量の増加予測に加え、技術者・技能者の不足や高齢化、作業に不慣れな新規参入者の就労など「災害の増加要因」が数多くあり、道のりは決して平坦ではない。