第9回北近畿エネルギーセキュリティ・インフラ整備研究会が27日、京都市内で開かれ、今年度の取組等について報告があった。
京都府は、京都舞鶴港へのLNG基地の誘致や広域ガスパイプライン整備などLNGインフラ整備促進を計画。兵庫県と共同で27年度に研究会を立ち上げ、調査や国への要望活動を行っている。
今年度の調査では、ケース1[浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)]、ケース2[浮体式ガス貯蔵(FSU)+浮体式再ガス化設備(FRU)]、ケース3[浮体式ガス貯蔵(FSU)+陸上再ガス化設備]の3つのケースを検討した。想定規模は17万7000KL(FSRUの標準設計に準拠)。
浮体式LNG基地のケースごとの整備に係る導入費用、運営費用等を試算するとともに、平地区・長浜地区に必要な工事(桟橋・浚渫等)、浮体式LNG基地の課題の整理を行った。
前提条件として、設置場所は「14m程度の十分な水深」と「LNG操船に必要な海上スペース」が確保できる場所を港湾計画図をもとに机上で選定した。陸上の荷上げ場所などは地図上で可能な場所を選定した。
平地区は○陸上にスペースがあり陸上施設が整備可○既存の公共桟橋がある(費用の低減が可)、長浜地区は○水深が深い(14m〜16m)ため浚渫不要○専用桟橋が必要だが距離が短い(桟橋の建設費用が少ない)などの地区特性がある。
両地区の概算費用+運営費(10年間)を比較すると、ケース1では長浜地区が約705億円(設備費等約472億円、浚渫費0円、運営費約233億円)、ケース2でも長浜地区が約772億円(設備費等約527億円、浚渫費0円、運営費約245億円)、ケース3では平地区が約698億円(設備費等約485億円、浚渫費約50億円、運営費約163億円)などと試算した《=概算費用等の比較表参照。※なおケース3の長浜地区は陸上の空地がなく長距離の陸上再ガス化施設までの長い導管が必要となるため、平地区の費用を超えると推測》。
長浜地区はケース1が初期投資が最も廉価、平地区はケース3が運営費が最も廉価と評価した。
浮体式LNG基地の課題としては、国内で導入事例がなく、陸上施設と海上施設(船舶)として複数の規制や義務を受ける可能性があること、船舶として法令の適用があり、5年に1回、2週間程度、検査のため入渠が必要で、その間の代替供給方法(陸上基地等)を確保する必要があること、台風接近時等は沖への避難が必要となり、その間の供給ができないことなどを挙げ、この課題を京都舞鶴港に当てはめ、検討していく必要があるとした。
なお府は、昨年12月に浮体式LNG基地整備等に係る調査業務を日本総合研究所に委託した。