神奈川県は、県営住宅建て替えへのPFI手法導入で、地元企業が参画しやすい仕組みを構築する考え。開会中の県議会第1回定例会で新堀史明議員(自民党)の一般質問に黒岩祐治知事が答えた。他府県での実施事例の把握に努める他、地元業界との意見交換などを通じて構築していく方針だ。
県は今後の建て替え事業について、「PFIなど民間活力を積極的に検討する」(黒岩知事)ことにしている。今後10年間で28団地7000戸を建て替えるとの目標を達成するためには、今まで以上にスピード感のある事業展開が求められるためだ。現状で100戸程度にとどまっている年間の建て替え戸数は今後、900戸程度にまで大幅に増える。
黒岩知事は一般質問で、設計・施工一括方式による工期の短縮を、PFI手法導入のメリットの一つに挙げた。また、民間事業者による余剰地活用提案、一時移転先あっせん業務への民間ノウハウ活用にも期待感を示した。
地元企業の参画については、従来手法における「いのち貢献度指名競争入札」を例に挙げ、地元企業の参加機会拡大の重要性を強調。「県独自の仕組みづくりに取り組む」との考えを示した。
県営住宅建て替えの今後の方向性を示した「神奈川県県営住宅 健康団地推進計画」の素案によると、事業に際しては、民間活力の導入の他、敷地の高度利用や団地の集約化による余剰地創出・活用、コミュニティールーム・広場の整備、子育て世帯向け住宅の供給などを進めるとしている。
また、県土整備局は19年度当初予算案に新規施策「PFI導入可能性調査や建替え計画策定」を盛り込んでいる。予算額は業務委託費6500万円で、対象とする▽鶴ケ峰(横浜市旭区)▽上溝(相模原市中央区)▽追浜第一(横須賀市)▽伊勢原テラス(伊勢原市)▽二宮(二宮町)―のうち、PFI導入可能性調査を行う団地は今後決める考えだ。
提供:建通新聞社