国土交通省が整備を進める国道57号北側復旧ルート(阿蘇市赤水〜大津町引水)で、阿蘇外輪山を貫く延長3659bの二重峠トンネルが23日、貫通した。現地で式典があり、2017年6月の着工から約1年8カ月での貫通という異例の早さに驚きと喜びの声があがった。
トンネルは、設計段階から施工者が関与して技術協力するECI方式を採用した。阿蘇と大津の坑口に加え、避難坑から複数の横坑(連絡坑)を掘って本坑にアクセスし、計5断面の切羽を計画。24時間態勢の連続施工で最大4カ所を同時掘削し、設計等の手続きを含めて1年半以上の工期短縮を実現した。施工は、阿蘇工区を安藤ハザマ・丸昭地域JV、大津工区を清水・福田・松下地域JVが行い、本体工事費は約231億円。
式典は、大津側坑口から1・8`付近の貫通点で開かれ、国交省の池田豊人道路局長や伊勢田敏九州地方整備局長、熊本県の蒲島郁夫知事、沿線地域の首長、施工関係者ら約200人が出席。発破音が坑内に響き渡った後、くす玉開披や万歳三唱をして貫通を祝った。
池田道路局長は「工事に理解を頂いた沿線地域と、地域の期待を背に尽力した施工者に感謝したい」としたうえで、「引き続き一日も早いルート全線の開通に向けて全力で取り組む」と挨拶。蒲島知事は「1年8カ月で巨大なトンネルが掘られ、まさに奇跡の事業だ」と称えた。
来賓からは「日本の土木技術に改めて驚愕した」(坂本哲志衆議)などの祝辞が贈られた。
20年度の開通を目指す北側復旧ルートは、全長約13`。用地買収は全て完了し、現在、阿蘇側(約3`)と大津側(約6`)の全線で工事が展開されている。路線は盛土や切土で構成し、構造物は二重峠トンネルのほか14カ所の橋梁を計画、うち3カ所が完成している。
国交省熊本河川国道事務所の鈴木学所長は「今回の貫通で、ある程度開通のめどが立ってきた。一日も早い開通を目指して頑張っていきたい」と話した。
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