大阪市は、昨年12月に成立した改正水道法を受け、老朽配水管の更新をPFI事業により行う計画の素案を策定した。市は現在、年間60〜70`のペースで管路の更新を進めているが、民間活力を導入することで倍速レベルの大幅なペースアップを図る他、15年間で約400億円のコスト縮減効果を実現する考えだ。今後、2019年度中に実施方針などの事業スキームを決定し、20年度以降に民間事業者を公募するスケジュールを組む。
現在、大阪市内には約5200`の配水管が張り巡らされており、いまだに多くの経年管路が既存。老朽化率は47%(17年度現在)で、全国ワーストワンとなっている。市は現在、60〜70`のペースで管路更新を進めているが、昨年6月に発生した大阪北部地震や、発生が危惧される南海トラフ巨大地震を踏まえ、更新事業を民間事業者に一括委託することを検討していた。
市の検討案によると、想定する民間事業者の業務内容は、配水管の更新(施工計画の策定から設計、施工まで)。配水管の維持保全、配水管以外の施設更新などは、これまで通り市が担当する。
更新延長は全体で約1800`。事業期間は15年程度で、前半5年間で約700`、後半10年間で約1100`の整備を想定する。
現行のペースでの、1800`の更新要年数は25〜26年間、総事業費は3400億円。これを民間事業者に委託した場合は、更新時期を15年間に短縮できる他、事業費も約3000億円に圧縮できるという。
管路耐震化の目標値としては、27年度までに南海トラフ巨大地震、37年度までに上町断層帯地震の発生直後でも当面必要な水を供給できる管路網の整備を目指す。
提供:建通新聞社