19年度の県当初予算案に、富山工業高校生徒のアイデアを生かし、旧富山市蓮町県職員住宅を創業支援施設、UIJターン者向けの住居に改修する経費が計上されたことを受け、発案者の同校卒業生が20日、県庁に石井隆一知事を表敬訪問した。
第8回「建築甲子園」で、大会史上初の連覇を達成した建築工学科チームのリノベーションプラン「夢を描きながら住まうこと〜地域を創るわかもん団地〜」に基づく事業着手を前に、知事と懇談したもの。昨年2月に優勝報告で表敬訪問した際、石井知事が「せっかくのアイデア。うまく生かせないか検討したい」と回答したことが実現した格好。
この日は優勝メンバー5名のうち、就職した榊原由比菜さん、高柳桃花さんと監督の藤井和弥学科長が出席。県側は、知事と伍嶋二美男商工労働部長らが応対。知事は「頂いた提案はとても良く、活用することにした」と述べ、事業概要を説明。榊原さんは「社会問題に真剣に取り組み、作り上げた作品。案が生かされると嬉しい」、高柳さんは「プロジェクトが進む中で、後輩が携わってくれると良いなと思う」、藤井学科長は「われわれの提案にリアリティーのある考え方が交じり合い、より面白みのある展開が起きそうな気がする」と話した。
蓮町の職員住宅は11棟で構成。今事業では供用中の蓮町北5・6号棟と解体する蓮町南1〜5棟を除く、4棟で利活用を図る。具体的には蓮町北4号棟はコモンテラスを設置し、創業支援施設にリノベーション。1階にスタートアップカフェと飲食店チャレンジショップ、2階にレンタルスペースと創作アトリエ、3階にシェアオフィスとコワーキングスペース、4階に多世代共生型シェアハウスを設ける。蓮町北1・2号棟は、UIJターン者向けの住居へ改修。起業家や外国人技能実習生も受け入れる。3号棟は別途検討。
県では、配置計画の提案や完成後の管理運営を担う事業者を4月にプロポーザルで公募し、7月に決める予定。調査と基本・実施設計は9月に委託、3月中に終える。改修工事は20年4月から21年3月に行い、同4月のオープンを目指す。解体費を含む総事業費は10億円超。当初予算案に計上された設計費等は6400万円。