横浜市が2019年度当初予算で新規に設定する建設関連の債務負担行為とその概要が明らかになった。一般会計は緑園義務教育学校の後期課程校舎増築や横浜マリンタワー改修、都市計画道路上郷公田線・桂町トンネル、鶴見工場長寿命化対策といった19年度着手の複数年工事で後年度支出を担保。本牧市民プールのPFI再整備でも19年度に事業者公募・選定手続きを進めるため、20年度以降の事業費を債務負担行為で確保する。特別会計では新本牧ふ頭第1期地区の地盤改良やケーソン製作(港湾整備費事業会計)、食肉市場の電力供給設備改修(中央と畜場費会計)などの工事が債務負担行為の対象に挙がっている。公営企業会計では工業用水道・東寺尾送水幹線の改良工事(工業用水道事業会計)や市営地下鉄ブルーライン上大岡駅の大規模改良工事(高速鉄道事業会計)などの後年度支出を裏付けていく。
緑園義務教育学校は、母体の緑園東小学校(泉区)と隣接地で後期課程の校舎増築やアリーナ増築、既存校舎改修などを10月〜22年3月に行って整備する。このうち19年度当初予算に計上する6億円と限度額21億円の20年度債務負担行為で、先行させる後期課程校舎(延べ床面積約6000平方b)の増築工事費を賄う。建築工事が第3回市会定例会付議案件となる見通しだ。
横浜マリンタワー(中区)の改修は、塔体の再塗装や展望用昇降機制御装置と空調機器の更新などを内容に、19〜21年度の3カ年で工事を進める予定。19年度当初予算の6000万円と限度額16億円の20〜21年度債務負担行為が原資で、建築系の工事を第3市会定例会付議案件として発注する考え。
上郷公田線・桂町トンネル(栄区)は終点側坑口付近の擁壁の完成を待って、NATMによる箱型2連・延長300bのトンネル本体工事に入る予定。主要地方道原宿六ツ浦の工事と題して限度額57億円の20〜22年度債務負担行為を設定し、第3回市会定例会付議案件としてトンネル本体工事の入札手続きを進めることになりそうだ。
―鶴見工場長寿命化、焼却炉と受発配電設備に約70億円―
鶴見工場(鶴見区)の長寿命化対策は18〜22年度の5カ年で工事を実施する。19年度当初予算に1億8593万円を計上するとともに、焼却炉などで限度額68億円(20〜22年度)、受発配電設備の補修で同1億9000万円(20年度)の債務負担行為を設定して新たな工事を発注する。先行して17年度に長寿命化対策を終えた都筑工場(都筑区)の長寿命化対策では、焼却炉などの改修工事(14年第3回市会付議案件)を築造メーカーの事業承継会社に随意契約で発注していた。
本牧市民プール(中区)のPFI再整備は7月〜20年1月の総合評価一般競争入札手続きで事業者を決める予定。プール自体の再整備を任せるだけでなく、敷地の一部を民間施設用地に割いてスポーツ施設や利便施設を誘導する考え。限度額23億円の20〜31年度債務負担行為を設定する。
―新本牧、地盤改良とケーソン製作で164億円―
新本牧ふ頭(中区)は基部約40fを市施行の第1期地区と位置付けて外周護岸やインフラの整備に900億円を投じる。埋め立て免許手続きを経て10月の着工を目指す中、19年度当初予算に事業費84億8000万円(うち準備工事、地盤改良工事、補償などに67億5000万円)を計上。併せて外海側外周護岸に関わる地盤改良などで限度額120億円、ケーソン製作で同44億円のそれぞれ20年度債務負担行為を設定する。第3回市会定例会付議案件として工事を発注する構え。
食肉市場(鶴見区)の電力供給設備改修は経年や特別高圧化への対応などが目的。19年度当初予算で2億9627万円を計上し、限度額13億円の20年度債務負担行為も設定して工事を進める。第2回市会定例会付議案件での発注を予定している。
―工水・東寺尾幹線、BL上大岡駅の改良にも―
工業用水道・東寺尾送水幹線の改良は、初弾となる保土ケ谷区〜神奈川区間約4・2`のシールド管路新設に向けて18年7月まで詳細設計を進めていた。磯子線の敷設替えなどを含む工業用水道施設整備工事のため、限度額74億5700万円の20〜24年度債務負担行為を設定する。
市営地下鉄ブルーライン上大岡駅(港南区)の大規模改良工事は19〜22年度に実施。併せて京急側改札口へ地上行きエレベーターを新設する。グリーンライン6両化関連などを含む市営地下鉄の営業区間施設改良工事として、限度額280億円の20〜24年度債務負担行為を設定する。
これらの他にも▽保土ケ谷プール大規模修繕(一般会計、20年度)=限度額9億3000万円▽小中学校新増改築(一般会計、綱島東小通級棟改修や長津田小増築、師岡小増築など、20年度)=限度額24億円▽汐見台小学校建て替え仮設校舎賃貸借(一般会計、20〜23年度)=限度額10億円▽下水道整備(下水道事業会計、北部第二水再生センター発電機棟築造や管渠再整備、20年度早期発注など、20〜21年度)=限度額310億円▽水道施設整備(水道事業会計、ポンプ計装設備更新や配水管整備、西谷浄水場管理棟改修、20年度早期発注など)=177億0700万円―といった新規の債務負担行為がある。
提供:建通新聞社