京都市は、北区大宮の大宮交通公園の北東部に移転新築する北消防署について、31年度当初予算案に消防活動拠点施設の整備(北消防署移転整備)として2億7300万円を計上するとともに、16億0300万円の債務負担行為(32年度)を設定した。
現在の北消防署(北区紫竹下緑町87)から直線距離で北西約700mに位置する北区大宮西脇台町17の一部の敷地2888・12uにSRC造3階建、延3237・91u(建築面積1734・67u)の新消防署を新築する計画。建築物の高さは11・708m(塔屋を含む高さは14・243m)。設計は内藤建築事務所(京都市左京区)。
30年1月に公表した北消防署移転整備事業に係る配慮書によると、消防署建屋は屋上緑化や蓄雨機能を持った植栽、壁面緑化を採用。可能な限り公園との一体化を図る。また日影規制の関係から、消防署北側は約8mセットバックし新消防署を建設し、周辺住宅等への影響を軽減する。南側には見学デッキやオープンスペースを創出するなど、公園機能の確保に配慮する。近隣への騒音等を考慮し、消防署を西側(北側約8m、東側約10m、南側約13・5mセットバック)に配置、南側に車庫を配置し公園から見えるようにする案を採用する考え。出入口は1ヵ所にする。消防署内の照明はLEDライトの採用や太陽光発電を設置するなど省エネ化を進める。緑化への散水には雨水貯留を活用するなど、水道利用を抑制する。
31年10月頃から着工し、33年2月末頃までの完成を予定。33年4月からの運用を目指す。
一方、大宮交通公園は、消防署移転を契機に防災機能を強化するとともに、再整備する計画。
再整備では、民間活力による都市公園の新たな整備手法である公募設置管理制度「Park−PFI」を導入する。Park−PFIは、公園利用者の利便性を向上させるカフェなどの飲食店、売店などの収益施設(公募対象公園施設)の設置と、その収益を活用し周辺園路、広場等の公共部分(特定公園施設)の整備、改修などを一体的に行う民間事業者を公募により選定する制度。Park−PFIを導入するため、市は30年9月市会に都市公園条例改正案を提出し、10月25日に可決した。
市は30年12月に公募設置等指針を配布し、公募設置等計画は31年1月31日から2月7日までの期間で受け付けた。事業者選定部会の開催(公募設置等計画の評価)は31年2月下旬頃で、31年3月上旬頃に設置等予定を決定する予定。
市と認定計画提出者は、事業実施条件や認定計画提出者の権利・義務等を定めた基本協定を31年4月以降に締結する。31年10月1日から休園し、認定計画提出者による工事が31年10月頃から33年3月頃までの予定。その後、33年3月末までに再開園(供用開始)する。事業終了は51年10月頃の予定。なお再開園までに、指定管理者の指定に関する議決等が必要となる。
事業対象面積は大宮交通公園内の約1万8000uで、建築面積500u以下(延床面積)。
公募対象公園施設全体の整備に関し、▽公園施設としてふさわしい、景観に配慮した施設デザインや素材、色彩▽ユニバーサルデザインに配慮した設計▽市が移転新築する北消防署と調和のとれたデザイン等を求める。
特定公園施設に関する事項として、(ア)交通学習ゾーン(サイクルセンター)では、現行の交通道路等を活用し、子どもや障害者など誰もが自転車と触れ合え、自転車の乗り方を実践できる自転車安全教育の拠点機能(サイクルセンター)を整備。交通公園管理事務所として受付窓口等、現行135u+37u以上の会議室等、模擬信号や横断歩道、路面表示等のある交通道路、幼児用の自転車広場(400u以上)、自転車等保管施設、(イ)すこやかゾーンとして散策路、健康遊具等の整備、オープンスペースの確保、倒木の危険性のある樹木の撤去等、(ウ)御土居ゾーンとして御土居の保全や歴史的価値を学べる活用(フェンス撤去、案内看板・昇降階段の設置等)、(エ)その他施設としてトイレ(多目的トイレを含む)の整備、外構(メインエントランス等)及び駐車場(15台以上確保)・駐輪場(10台以上確保)の整備。
事業範囲は▽公募対象公園施設の設置及び管理運営業務▽特定公園施設の設計業務▽特定公園施設の建設業務▽特定公園施設の譲渡業務▽特定公園施設の管理運営業務。
市は31年度当初予算案に大宮交通公園再整備として2650万7000円の債務負担行為(32年度)を設定した。