「徳島市水道ビジョン2019」の策定を進めている徳島市水道局は、6日に局本庁舎で第5回市民会議(会長・上月康則徳島大学教授)を開き、昨年12月から今年1月にかけて実施したパブリックコメントの結果を踏まえ、新水道ビジョン案について協議。市民の意見全てが局で検討するところまで至っていないとする水道の民営化に難色を示す内容だったとし、「誤解を招かないよう新水道ビジョンの中でていねいに説明(表現)すべき」という条件を付けてこれを了承した。局は今後、修正の上3月市議会定例会に報告し、同ビジョンを公表することにしている。
当日の会合では、局がパブリックコメントの実施結果を説明。寄せられた市民の意見はわずか4件だったが、その全てが「民営化に反対」の意見だった。局は「昨年の水道法改正で報道機関が過剰に民営化を取り上げたことが影響しているのではないか」とし、局の考え方として「コンセッション方式(公共施設等運営権)は、あくまで官民連携の選択肢の一つ。本市では、収納・窓口業務や水道料金徴収業務について市民サービスの向上を図る上で民間活力の活用を進めているが、同方式の導入については今のところ検討するには至っていない」などとし、理解を求めたいとした。
また、局は「仮にコンセッション方式を導入するにしても、議会をはじめ、さまざまな関係者の理解を得なければならず、簡単ではない」とし、原案での了承を求めたが、市民会議では「その考えを分かりやすくビジョンに示すべき」とする意見が根強く、市議会へ報告する前に表現(文言)を検討することになった。
新水道ビジョンは、現行計画(2009〜18年度)が本年度に終了することから、現状の課題などから将来目指すべき方向を定め、向こう10年間の投資・財政計画と取り組むべき施策を整理した次期基本計画として策定する。将来像は「将来につなぐ水都とくしまの水道」。「安全」「強靱(きょうじん)」「持続」を施策の3本柱とし、各目標の達成を図る。このうち強靱については、業務指標における目標値について、浄水施設の耐震化率を28年度に40%(17年度18・5%)、配水池の耐震化率を28年度に45%(17年度22・3%)、重要給水施設配水管路の耐震化率を28年度に100%(17年度82%)に設定するなどした。この他、老朽管更新・耐震化や水道庁舎の整備などについても盛り込んだ。
また、将来にわたる更新財源の不足が課題となることから、持続可能な経営を目指す上で投資・財政計画も示し、投資については80年先を見据えた施設の更新需要を検討し、均衡を図った結果、計画期間内(28年度まで)における投資総額を約250億円としている。
ビジョン策定のための市民会議は今回で最終となるが、3年ごとにビジョンを点検し必要なら見直すことにしており、22年度に現委員を中心とする市民会議で審査することにしている。
提供:建通新聞社