徳島市水道局庁舎整備基本計画を策定するための有識者会議「市水道局庁舎整備検討会議」(会長・上月康則徳島大学教授)の初会合が4日、局本庁舎で開かれ=写真、本庁舎など庁舎の現況や課題などを確認し、庁舎整備方針について議論した。庁舎整備の方針について事務局(局)は、本庁舎の「耐震改修」案と「新築」案を提示。工事費やランニングコストを比較検討した結果、委員全員がほぼ新築案に賛成した。これを受けて次回以降はこの本庁舎新築案を軸に、規模や建設候補地、事業手法などについて議論していく。
耐震性能を満たさない現本庁舎と前川分庁舎(旧館)について、新たな庁舎の整備も視野に本庁舎機能の耐震化および長寿命化を検討する他、前川分庁舎旧館については解体し、跡地利用を新庁舎の候補地の一つとして検討するもの。局は現本庁舎の耐震改修または改築、別地(局用地)への移転、さらには2020年4月の上下水道統合に伴う増員への対応や前川分庁舎(新館)の今後の在り方の他、これらがほぼ全て水道料金で賄われるものとした上で検討会議の意見を求めることにしている。
会議で局は、耐震補強した場合、工事に2億6200万円かかるとした他、併せて全面改修(屋上防水、外壁塗装、内装一式などの長寿命化工事にユニバーサルデザインやバリアフリー化なども含む)も必要(耐震改修案)とし、それには新築の場合の65%相当の8億7700万円、合計で11億3900万円の工事費になると試算。また、その他の費用として耐震設計費、仮庁舎建設費、移転費が必要とした。
一方、新築の場合の工事費は13億5000万円になるとし、その他費用として設計費、監理費、解体費、移転費などが少なくともかかるとした。なお、新築工事費用は平方b当たり単価約45万円、耐震改修案も新築案も現本庁舎(延べ床面積約3000平方b)の規模で費用を算定しているが、これらには20年4月の上下水道統合による増員に伴い必要となる執務室増床(1000平方b程度)の工事費は含まれていない。
ランニングコストについては、庁舎の更新基準年数を70年とし、2019年度からかかる各建設コストを比較。耐震改修の場合、直近の耐震改修工事費11億3900万円の他、築70年を迎える2035年度に建て替え工事費13億5000万円、新築後35年経過の70年度に改修工事費4億7300万円(建て替え費用の35%として算出)とし、19年度から70年間の建設コストは24億3700万円とした。これに対し、新築の場合は19年度の建て替えスタートから35年を経過した54年度に改修が必要なだけで計18億2300万円になると試算。直近の工事費では耐震改修案が低コストだが、ランニングコストでは、新築案の方がコストパフォーマンスが高いとした。
会議では、このランニングコストの面でおおむね新築案に決まっていたが、この他に現本庁舎敷地で必要な増床は十分な敷地が確保できず、また基礎杭を含めた耐震改修が不可能な点や構造躯体の延命化も図れないなどの理由で現実的に耐震改修での対応は厳しいことも判明。これら要因が新築案を決定付けた。
建設候補地については、規模も含め次回以降の議論となるが、初会合では現本庁舎用地(幸町2ノ5)991・72平方b、前川分庁舎用地(南前川町5ノ1ノ4)4115・89平方b、中前川配水場予定地(中前川1ノ46)4390・55平方bの局用地3カ所を提示した。市は次回会合を3月22日に開くなど5月末まで毎月会合を重ね、庁舎整備基本計画(案)を取りまとめることにしている。
庁舎整備基本計画の策定は梓設計関西支社(大阪市北区)が担当。
提供:建通新聞社