とやま県産材需給情報センター(富山市八町)は、富山県産杉板とアルミフレームを組み合わせた「富山型フェンス」の販売を開始した。幅広い用途での活用を積極的に働きかけ、県産材の活用、需要拡大を目指す。
エコーウッド(小矢部市戸久)、三協立山(高岡市早川)、富山県森林組合連合会(富山市八町)が共同し、劣化の著しい危険ブロック塀の代替として開発したもの。県産材と地場産業のアルミを用いたハイブリッドフェンスで、高さが1800ミリ、1500ミリの2種類、フレームカラー(アーバングレー、ダークブロンズ)2色の全4タイプを取り揃える。1枚の幅が2メートル。
中央部の県産杉(上小節)は加圧式防腐防蟻処理を施し、耐久性を大幅に向上させた。木材本来の特性を生かし、従来の無機質なブロックに比べて木目の優しい質感が周辺の環境に美しく調和する。外枠、支柱には軽量で耐腐食性に優れたアルミニウム合金押出形材を取り入れた。杉パネルとアルミフレームの部材をキット化することで設置現場での組立時間の短縮を図り、簡易施工を実現する。塀板の部分補修も可能となり、高メンテナンス性を誇る。
18年6月の大阪北部地震によるブロック塀倒壊事故を受け、災害時の危険性が指摘されるブロック塀から木製塀へ転換する動きが全国的に広がっている。石井隆一知事は「事故防止や県産材活用の観点から有効な手段。富山型フェンスの製品化により、耐久性を高めて維持管理コストを抑えることができる」との考えを示す。県の教育文化会館や高岡児童相談所などのブロック塀改修工事としてモデル的に設置することにしており、年度内に着手する。成果を踏まえ、市町村にも採用を働きかけていく。
同センターは県産材の利用促進に向け、県森連、県木材組合連合会、県素材生産組合が18年4月に設立した。山側からの出材計画量やストックヤードの在庫量の供給情報と、製材工場や工務店が求める需要情報を共有し、ワンストップで提供することで、川上から川中・川下の需給マッチングの円滑化を図る。センターでは、富山型フェンスの情報を広く発信するほか、「多くの方に県産材を使ってもらいたい。木材利用の好循環を生み出していく」と県産材の有効活用を呼びかける。地元の山で育った木を幅広く生かすことで、地域資源である森林の整備につなげる。