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日本工業経済新聞社(茨城)
2019/01/25

【茨城】平準化の取り組みが徐々に浸透/自治体の入札契約適正化調査


 国土交通、総務、財務の3省はこのほど、2018年8月1日時点での入札契約適正化法等に基づく実施状況調査の結果をまとめた。債務負担行為の活用や柔軟な工期設定など、県内では施工時期の平準化の取り組みが徐々に浸透しつつあることが分かった。県内44市町村中、債務負担行為の積極的な活用を実施しているのは10市町村、柔軟な工期の設定を実施しているのは8市町。設計変更ガイドラインについては、11市町村が指針を策定して活用している。
 (8面に県と県内市町村の入札契約制度調査結果一覧を掲載)


 今回の調査では、各発注機関における平準化の先進事例「さ・し・す・せ・そ」(債務負担行為の積極的な活用・柔軟な工期の設定・速やかな繰越手続・積算の前倒し・早期執行のための目標設定)の取り組みや、設計変更ガイドラインの策定状況、一者応札の対応なども公表。
 県は平準化の取り組みのうち、速やかな繰越手続が未実施となっている。県担当者は「本県ではゼロ県債を設定し、発注時期の平準化を進めている。速やかな繰越手続については、担当部署と連携しながら検討していきたい」と話す。
 福島県では当該年度で完成しないことが明らかな工事について、適正な工期確保を目的として、09年度から9月議会へ繰越明許費を計上するようになった。また、群馬県でも16年度から繰越手続を早め、9月議会や11月議会に繰越明許費を計上するようにしている。適正な工期を確保するためにも、県は早期に速やかな繰越手続を実施する必要があるだろう。
 市町村を見ると、債務負担行為の積極的な活用を実施しているのは、水戸市、日立市、龍ケ崎市、常陸太田市、北茨城市、笠間市、牛久市、鹿嶋市、美浦村、利根町の10市町村。
 柔軟な工期の設定については、日立市、高萩市、笠間市、牛久市、守谷市、八千代町、境町、利根町の8市町が実施。
 速やかな繰越手続は水戸市、古河市、石岡市、笠間市、牛久市、つくば市、鹿嶋市、坂東市、東海村、八千代町の10市町村が行っている。
 いずれも2割程度にとどまっており、受注者の働き方改革を促進するためにも、各自治体にはさらなる平準化の取り組みが求められている。
 このほか、設計変更ガイドラインは水戸市、土浦市、古河市、石岡市、牛久市、つくば市、桜川市、神栖市、東海村、五霞町、利根町の11市町村が指針を策定。
 17年度の競争入札平均落札率については、低い順に利根町71・7%、神栖市81・1%、阿見町86%。高い順では城里町が98%、桜川市が97・9%、高萩市と美浦村が97・7%となっている。
 総合評価落札方式は、潮来市、坂東市、大洗町、大子町、美浦村、河内町、八千代町、五霞町、利根町の9市町村が未導入。導入済み自治体では、県が617件、水戸市が14件、常陸太田市が5件、笠間市が2件、常陸大宮市と那珂市が1件を実施した。
 予定価格の公表時期については、44市町村中、全案件事後公表が結城市、高萩市、潮来市、坂東市、河内町、五霞町、境町の7市町。案件により事後公表と事前公表を併用が9市町、原則事前公表(一部の案件で事後公表を試行)が常総市と鉾田市の2市、全案件事前公表が26市町村となっている。
 低入札価格調査制度および最低制限価格制度を見ると、いずれの制度も導入していない市町村は全国で109団体となった。17年3月末時点と比較して17団体減少し、導入している団体は1595団体(92・7%)から1612団体(93・7%)に増加した。
 社会保険加入対策として新規で調査した請負代金内訳書に法定福利費を明示する取り組みを導入しているのは300団体。うち98団体は元請け企業に提出させ、承認しており、128団体は契約締結後一定期間以内に元請け企業に提出させている。ほかにも9団体は導入が決定し、605団体では時期は未定ながら今後の導入を検討中。