神奈川県横浜川崎治水事務所は、1級河川恩田川の遊水地整備に向けた予備設計に着手する。横浜市緑区小山町地区の約3万平方bを活用するもので、施設容量約10万1000立方bを想定している。歩掛の見積もり公募(実施済み)を経て、今後の指名競争入札で委託先を決める予備設計業務では、基本形状を決定するとともに各施設の諸元を設定した上で、比較検討により構造形式を決める。
計画地は、恩田川左岸で県道140号(川崎町田)の南側に位置する。10を超える候補エリアの中から、▽市街化や橋の状況(地域分断への影響)▽農地の規制の状況▽設置場所による遊水地の大きさ▽都市計画道路の有無―を基に選定したもの。
現状の土地利用は、宅地約1割、水田約3割、畑約5割、道路・水路約1割。
昨年、地権者らに開いた説明会では、越流堤、囲ぎょう堤、排水門、周囲堤、遊水地で構成する一般的な施設イメージと整備の流れなどを示している。
今後の事業スケジュールとしては、予備設計とともに測量、地質調査を実施。その後、上部利用検討や用地取得、水理模型実験などを進めた上で、工事着手するとした。完成時期は明らかにしていない。
鶴見川支川の一つ、恩田川は町田市滝の沢に源を発し、町田市内を流れ横浜市緑区中山町で鶴見川に合流する全長12・4`の1級河川。うち県管理区間は約7・6`。
河道は、大半が掘り込み河道形態で、直線的に整備され、護岸はコンクリート護岸やブロック積み護岸。中・下流部の横浜市域は低層住宅地と農地が広く分布し、鶴見川との合流部付近には、マンションや工場などが立地する。
鶴見川水系河川整備計画には、恩田川関連の整備として河道断面の確保対策や、洪水調節施設(今回の遊水地)の建設などが盛り込まれている。
提供:建通新聞社