近畿地方所有者不明土地連携協議会の設立総会が2月1日、大阪市内で行われた。6月からの「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(所有者不明土地法)」の完全施行を見据えたもので、近畿2府5県の関係行政機関と関係士業団体などが一体となった所有者不明土地対策がスタートした。
所有者不明土地は、少子高齢化に伴う土地ニーズの低下や都市部への人口移動などにより、全国的に増加の一途をたどるとされる。2016年度の地籍調査によると、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は20%超に上り、公共事業のさまざまな場面で、所有者特定のために多大なコストを要するなど、円滑な事業実施への大きな障壁となっている=図表参照。
所有者不明土地法は6月1日の完全施行を予定。同法では、反対する権利者がおらず、建築物がなく、現在利用されていない所有者不明土地について、収用委員会に代わり都道府県知事が裁定できるようにしたり(公共事業の円滑な実施)、利用権を設定し、公園や直売所など公益性の高い施設として利用したりすることが可能になる。
収用手続きに要する期間については、現行の約31カ月を3分の1となる21カ月程度に短縮する効果が期待される。
協議会の構成員は、大阪法務局、近畿地方整備局、地方公共団体(大阪府、滋賀県、奈良県、神戸市など)、協力団体(日本行政書士会連合会近畿地方協議会、近畿司法書士会連合会、日本土地家屋調査士会連合会近畿ブロック協議会、近畿不動産鑑定士協会連合会、近畿弁護士会連合会、日本補償コンサルタント協会近畿支部)など。
設立総会では冒頭、近畿地方整備局の黒川純一良局長があいさつに立ち「所有者不明土地の問題を解決することは、公共事業の円滑な実施だけでなく、地域の資産として有効活用していくことにつながる。大阪では万博も決まり、たくさんの事業が動き出す。他のブロックにも増して重要な課題だ」と話した。
提供:建通新聞社