京都市の門川大作市長は1月31日、31年度当初予算案の概要を発表。政府の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」による財源も活用し、河川改修、雨水幹線整備、橋りょうの耐震化など、防災・減災にかかる予算は、2月補正を含め500億円を確保した。
全会計予算規模は対前年度比0・4%増の1兆7223億円。
一般会計予算規模は7944億円(対前年度比1・3%増)で対前年比99億円増。一般会計の投資的経費は8億円減(30年度870億円→31年度862億円)。
特別会計は6606億円(同0・9%減)。公営企業会計は2673億円(同1・0%増)で、内訳は水道656億円(同17・4%増)、下水道937億円(同5・1%減)、市バス279億円(同2・9%増)、地下鉄801億円(同3・4%減)。
建設関連の主な事業をみると、いのちを守る都市基盤防災・減災対策プロジェクトに46億8900万円(2月補正予算にも3億5100万円)を計上。橋りょう・排水機場の耐震補強・老朽化修繕、緊急輸送道路等に面する斜面の防災対策、河川の浸水対策を実施する。
公共下水道特別会計で雨水幹線整備等による浸水対策の推進に30億2400万円を計上。伏見区や山科区で整備している雨水幹線の供用開始など、雨水幹線等の整備を推進する。
まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業に3億1400万円を計上し、防火改修支援メニューを新設する。
新規で災害に強い農業用施設整備に2100万円、災害復旧に向けた倒木対策の推進に1億2800万円を計上した。
道路・河川維持補修等に32億3700万円を計上。地域で日常的に利用される道路の補修や、河川の浚渫・除草等について、市民ニーズに応えられるよう、予算を約1億4000万円充実させた。
長寿命化を核とする学校施設マネジメントの推進に13億8000万円を計上。長寿命化改修実施校数を年間3校から6校に拡大する。
新庁舎整備事業は81億5300万円を計上。引き続き本庁舎及び分庁舎の建設工事を実施。西庁舎は31年3月、分庁舎は31年5月に完成予定。
保育所等の受入枠拡大に向けた整備に16億5900万円を計上。32年度以降に向け、298人分の受入枠拡大に向けた保育所整備を推進する。
学校増収容・老朽化対策(西院小画工・呉竹総合支援学校)に3億0400万円、地域住民、保護者とともに進める学校統合の推進(下京雅小学校、紫野小学校)に21億7800万円、小中一貫教育校(施設一体型)の整備(京北地域)に25億6200万円、新しい普通科系高校(洛陽工業高校跡地への塔南高校の移転・再編)の整備に4億8200万円、新しい定時制単独高校(伏見工業高校跡地の活用)の整備に11億5800万円を計上した。
運動公園・体育館等整備・改修に12億7100万円を計上。西京極総合運動公園、横大路運動公園(防災機能強化に向けた園路整備等に着手)、宝が池公園運動施設体育館(31年8月完成予定)などの整備・改修を推進する。
駅等のバリアフリー化の推進に4億2300万円を計上。現在実施中の西大路駅(JR西日本)、西院駅(阪急)等に加え、北野白梅町駅(京福)、鳥羽街道駅(京阪)のバリアフリー化整備等を推進する。
新規で新・京都市美術館オープニングプロジェクトに14億2200万円を計上。31年度中のグランドオープンに向けた整備等を進めるとともに、常設展の新設や開館記念展をはじめとする多彩な記念事業を実施する。
新規で二条城おもてなし環境向上事業に1億5600万円を計上。未公開文化財の公開・活用に向けた整備、城内園路・通路の改修などを行う。
「新景観政策」の更なる進化に2300万円を計上。高度地区・景観地区の都市計画を変更するとともに、岡崎や円山公園などのモデル地区において魅力ある夜間景観づくりに向けた社会実験を実施する。
新規で地域企業応援プロジェクトに3400万円を計上。地域企業顕彰制度の創設に200万円を充て、モデルとなる事業や活動を行う地域企業を表彰する。地域企業レジリエンス構築支援事業に100万円を充て、事業継続計画(BCP)策定や企業防災を支援する。創業・イノベーション拠点創生事業に1000万円を充て、都心部小学校跡地等を活用し、民間事業者のアイデアを生かした拠点づくりを推進する。
京都経済センター関連では、新規でオープンイノベーションの推進に2400万円、繊維産業振興事業に2000万円、文化×知恵産業展(仮称)の開催に1000万円を計上した。
新規・充実で産業用地創出事業に900万円を計上。久我の工業専用地域や土地区画整理施行中の伏見西部第五地区における地権者組織の取組を支援するほか、新たな産業用地創出に向けた土地所有者への意向調査を実施する。
新規でらくなん進都への企業集積促進に向けた取組に500万円を計上。土地の高度利用を図るための調査などを実施する。
新規で西京区総合庁舎整備に3億5300万円を計上。西京区役所と保健福祉センターを一体化した総合庁舎の整備に向け、上下水道局が所有する土地の取得、基本計画の策定等に着手する。
西陣を中心とした地域の活性化に1000万円を計上した。京都駅東部エリアの活性化には500万円を計上し、新たなシンボルゾーンの創設に向けたまちづくりを推進する。
新規で文化芸術によるまちづくりに向けた東九条地区歩行空間等整備事業に2000万円を計上。地区内主要道路や河川沿いを中心とした歩行空間等整備の基本設計に着手する。
新規で山科駅前地区景観整備事業に1億1500万円を計上。山科駅前地下道をリニューアルする。
このほか、新規で31年9月の国際博物館会議(ICOM)京都大会開催にあたり記念イベント等の実施に5100万円を計上。新規でIPCC総会京都市開催記念事業に500万円を計上した。
31年度当初予算における宿泊税充当事業の主なものは、交通バリアフリー化対策2億9600万円(充当額。以下同じ。京福北野白梅町駅など駅等のバリアフリー化、七条通など道路のバリアフリー化、京福北野白梅町駅周辺の道路改良)、安心・安全な東大路歩行空間創出事業7100万円、民泊等に対する火災予防対策900万円、鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費補助6700万円、自転車奏功環境整備3200万円、京都駅前バスターミナルへのミスト装置の設置や観光地周辺トイレの洋式化等による受入環境の整備・充実3億9300万円、市バス・地下鉄の利便性向上1億0400万円、京町家の保全及び継承に関する取組1億8000万円、文化財の保全・継承に向けた取組2億7700万円(京都を彩る建物や庭園助成制度、市指定文化財等保存修理など)、伝統産業の魅力発信3億2900万円(京都伝統産業ふれあい館リニューアル事業など)、文化芸術によるまちづくりに向けた東九条地区歩行空間等整備事業1000万円、歴史的景観の保全に向けた取組5億1700万円(「新景観政策」の更なる進化等)、雨庭整備事業500万円、無電柱化事業1億3800万円ほか。