東京都都市整備局は、特定緊急輸送道路沿道建築物の2018年12月末現在の耐震化の状況をまとめた。対象となる建築物のうち耐震性を満たす建築物の割合は前年同期比1・0㌽増の84・8%、耐震診断の実施率は0・4㌽増の97・5%、旧耐震基準建築物のうち改修などにより耐震性を満たす建物の割合は3・8㌽増の42・0%となった。一方、耐震診断を行っていない建築物が依然として121棟、耐震性の不足が判明したものの改修工事に未着手の建築物が2685棟あることから、「東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例(耐震化推進条例)」改正による占有者責務の新たな位置付けや、耐震化アドバイザー制度の拡充などを通じてさらなる耐震化を促す。
対象となる沿道建築物1万8450棟のうち、新耐震基準で建てられた建築物は1万3613棟、旧耐震基準による建築物は4837棟ある。旧耐震基準の建物では4716棟(97・5%)で耐震診断が完了し、このうち2031棟で耐震改修などの対策が完了した。新耐震基準の建築物と合わせた「耐震性を満たす建築物」は1万5644棟となり、耐震化率は前年同期を1・0㌽上回る84・8%になった。
ただ、依然として耐震診断を実施していないため耐震性が不明な建築物が121棟、耐震診断を受けたものの対策を行っていない建築物が2685棟ある。
都では沿道建築物の耐震化を着実、円滑に進めていくための取り組みとして耐震化推進条例を年度内に改正し、占有者の責務などを新たに位置付ける。
テナントなど沿道建築物の占有者に対し、「(建物)所有者が行う耐震化の実現に向けた協力に努めること」を責務として規定する。併せて所有者に対し、占有者への説明努力義務を規定する。占有者への「建物が耐震性を満たさないこと」の通知と、「耐震改修などの実現に向けた協力を求めること」に努めることとし、これを行わない所有者に対して、知事が指導・助言をすることができるようにする。指導・助言の対象となった沿道建築物の占有者が耐震改修などに協力しない場合は、知事が占有者に指導・助言する。
また、建物所有者が抱える課題を的確に把握し、それに適した専門家(建築士、弁護士など)を派遣するアドバイザー制度を拡充し、4月に本運用を開始する。
相談内容ごとに所有者からの派遣要請が必要だったものを「アドバイザーからも派遣要請が可能」に変更するとともに、1訪問につき設定されている派遣報酬を「複数人派遣の場合、それぞれに報酬を支払う」ようにする。おおむね5回程度としている派遣件数も「おおむね10人工程度」とし、これを超えた場合は区市町村の耐震アドバイザー派遣事業に移行する。耐震化が実現するため継続的に助言を行うことができる仕組みの一環として、派遣完了後も定期的に所有者に意向調査を行うことにする。
提供:建通新聞社