京都府の西脇隆俊知事は25日、定例記者会見を開き、31年度当初予算案と30年度2月補正予算案の概要を発表。「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の実施や消費税引き上げへの対応など、国の補正予算も十分活用しながら14ヵ月予算として編成する。
31年度当初予算案は8897億円台(対30年度6月補正後2・2%増。税源移譲の影響を除く実質2・6%増)。142億円台の30年度2月補正予算案と合わせ合計9040億円台(同2・6%増。実質3・0%増)とする。
建設関連の主なものをみると、周産期等子育て医療体制強化費に3億2000万円規模を計上。府立医科大学附属病院におけるNICU(新生児集中治療室)の6床から9床への増床に向け、NICU及びGCU(新生児治療回復室)の設備や機器などを全面的にリニューアルする。
新規で府立学校スマートスクール推進事業費に1億1000万円規模を計上。概ね4年間をメドに、府立高校及び府立特別支援学校に電子黒板や指導用タブレットなどを設置する。
新設特別支援学校建設費に21億円規模を計上し、また31億円規模の債務負担行為を設定。井手町に計画の新設校(延1万2434u)の建設費に充当する。児童生徒数は200人規模。
新設高等学校整備費に5億2000万円規模を計上。丹後地域の分校を統合再編。峰山高校弥栄分校に新設棟を建設するほか、既存棟改修、エレベーター設置等を行う。32年4月開校予定。
向日が丘支援学校基本構想策定費に1000万円規模を計上。同校の校舎改築等に向け、長岡京市の共生型福祉施設構想との連携など、目指すべき方向性の実現に必要となる基本構想をまとめる。
新行政棟・文化庁移転施設整備費に5億2000万円規模を計上。33年度中の文化庁の移転に向け、実施設計、埋蔵文化財調査、3号館解体工事等を実施する。
北山文化環境ゾーン広場・プロムナード整備費に1億円規模を計上。京都学・歴彩館と植物園、府立大学等の周辺施設との連携・交流を図るため広場とプロムナード(遊歩道)を整備する。
京都スタジアム整備費は81億円規模。12月に完成、32年1月に竣工式、2月にこけら落としを予定。新規で京都スタジアム周遊拠点化事業費に4億3000万円規模を計上。保津川下り等の歴史展示施設、新たな保津川下りコースの船着き場の整備などを行う。
スポーツ拠点施設充実費に1億2000万円規模を計上。スポーツ施設を整備する市町村を支援する。
新規で「京都観光交流圏」形成・拡大事業費に5億9000万円規模を計上。文化財の美装化、環境整備等を上限100万円(補助率1/2)まで支援する文化財活用支援事業、伝統的建造物を活用した宿泊施設整備など「農・観」連携による地域観光エリア創出事業、ホテルやオーベルジュなど多様な宿泊施設の立地に対する助成を行う宿泊施設立地促進事業などに充てる。
建設業魅力発信プロジェクト事業費を新規計上。建設業界等と連携し、学生向けインターンシップや建設女子など、担い手確保のための動画作成などで京都の建設業の魅力を発信する。
介護施設設備整備助成費は22億円規模。特別養護老人ホームや地域密着型特養人ホームの整備、介護医療院への転換等を支援する。
北部医療センターがん診療棟整備事業費は14億円規模。工事費と機器整備費に充当。32年春に供用開始予定。
警察本部庁舎建設費は89億円規模。32年3月に新庁舎を完成させ、32年度に供用開始する予定。
宇治警察署建設計画費を新規計上。建替えに向けた基本計画を策定する。
交番機能強化費に4億円規模を計上した。
新規で森林災害防止事業費に30億円規模を計上。公共造林事業により森林所有者等の取組を支援するほか、市町村と連携した災害防止森林整備事業を創設し、危険木除去や簡易防災施設の設置等を進める。
新規で北近畿タンゴ鉄道緊急防災対策強化事業費に3億2000万円規模を計上。北近畿タンゴ鉄道鰍ェ実施する総額10億円規模の緊急安全対策事業を支援。予防的な防災対策工事や鉄道用地外を含めた買収・工事も可能とする。
原子力防災対策事業費に18億円規模を計上。避難路整備や病院等要配慮者施設の放射線防護対策などを実施する。
新規で防災・減災、安心・安全基盤の整備に794億円規模を計上。国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を活用し、道路の防災対策への早期着手・早期完成、河道掘削や護岸等整備による洪水発生リスクの低減、砂防事業の早期完成を図る。
木津川運動公園整備方針検討事業費を新規計上。35年度に新名神高速道路の供用開始やアウトレットモールの開設が予定されていることから、民活事業も含め、公園北側区域の整備方針を再検討する。
新規で京都舞鶴港物流基盤重点整備事業に1億6000万円規模を計上。舞鶴国際ふ頭のU期整備に向けた準備や第2ふ頭の大型クルーズ船受入方法検討に着手する。
新総合計画等策定費に2000万円規模を計上。今秋に策定する予定。
予算案以外では、組織改正のため部制設置条例の一部改正案を提出する。防災・減災対策の充実・強化として、府民生活部から危機管理部門を独立させ、「危機管理部」を設置し、自然災害等への対応力を強化する。環境部の下水道部門を建設交通部で一体的に所管し、治水対策の推進体制を強化する。
府民生活部と環境部を再編し、府民生活の基盤を担う「府民環境部」を設置する。
府民生活部が所管する青少年の健全育成などを健康福祉部で一体的に所管し、子育て環境日本一を総合的に推進する体制を強化する。