東京都は1月25日、一般会計に前年度比5・9%増の7兆4610億円を計上し、このうち投資的経費に19・3%増の1兆3269億円を充てる2019年度予算案を発表した。一般会計は過去最大の規模で、投資的経費が大幅に増えたのは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた新規恒久施設の整備や既存体育施設の改修を着実に進めるとともに、都民の安全・安心を確保するための豪雨対策や幹線道路の整備などの事業に重点的に予算を配分したことが要因。特別会計は前年度比2・1%増の5兆5505億円、公営企業会計は0・6%減の1兆9480億円で、一般会計を加えた全28会計の総額は前年度を3・6%上回る14兆9594億円となっている。
19年度予算案は、「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」を実現するための施策の積極的な展開や、東京2020大会の開催準備総仕上げといった視点に基づき編成した。
「セーフシティ」の実現に向けた取り組みでは、水害に強いまちづくりに1598億円を計上。このうち豪雨対策に830億円を充て、8河川で新たな調節池整備の検討を、建設中の環状七号線地下広域調節池で延伸をそれぞれ検討する他、空堀川上流域で流域雨水幹線の基本設計に着手する。
地震が起こっても倒れない・燃えないまちづくりには1411億円を配分。このうち無電柱化の推進に306億円を充て、都道や区市町村道での整備を推進するとともに、開発行為の際に無電柱化を推進するための制度などの検討を始める。
872億円を盛り込む木造住宅密集地域の不燃化・耐震化では、整備地域内の建築物の耐震診断・設計839件と耐震改修549件に対する助成を行う他、都有地を活用して権利者の受け皿となる賃貸住宅を整備する「魅力的な移転先の整備に関する事業」で民間事業者の公募選定を行う。
建築物の耐震化促進に伴う予算は233億円で、緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断107件、補強設計298件、耐震改修331件の費用を助成する。マンションの耐震改修を促すため、耐震診断7000件、耐震設計・改修3000件、耐震アドバイザー派遣105件への助成費用も盛り込んだ。
「スマートシティ」の実現では、新たに市場・市場跡地の活性化の費用として7億円を計上し、千客万来施設開業までの間、仮設施設を活用した場外マルシェやイベントを実施するとともに、築地再開発に向けた検討を進める。交通・物流ネットワークの形成には2075億円を配分。区部・多摩南部方向の道路や臨港道路南北線、東京外かく環状道路、鉄道の連続立体交差などの整備を進める。
214億円を投じる暑さ対策では、新たに20年大会テストイベントでの対策の施行・検証や、ライブサテライト会場となる都立公園への微細ミストの設置などを行うとともに、路面の高機能化や公立学校屋内体育施設の空調設置に取り組む。
「ダイバーシティ」の関連施策については、待機児童解消に向けた取り組みに1745億円、特別養護老人ホームの整備費補助など高齢者のすまい整備に398億円、トイレの洋式化や道路のバリアフリー化、鉄道駅へのホームドア整備といった、誰もが優しさを感じられるまちづくりに219億円を充てる。
提供:建通新聞社